第26話 積極的な彼女に抗えない Side レオ

 夕食で口にした赤い色をした飲み物は甘くて、飲みやすかった。

 あまりに飲みやすいからか、リーナにしては珍しくおかわりをしてるくらいだ。

 僕も一口飲んで美味しいと思う。

 だけどこれ、アルコールだ。

 お酒じゃないか。

 気付かなかったなんて、うかつ過ぎる。

 僕のミスだ。

 リーナは気に入ったのか、三杯くらい飲んでから、まずいかもしれない。

 その晩に起こることが分かっていたら、飲ませなかったんだけどなぁ。


 一杯だけにしても飲んでしまったせいだろうか。

 その日はリーナにいつものマッサージをすることもなく、寝てしまった。

 アルコールのせいか、瞼が重くて我慢出来なかったんだ。

 リーナの方が何杯も飲んでいたからか、既に寝ちゃってる。

 僕もちょっと酔いが回って危なかったから、アンさんが僕とリーナを担いで宿まで帰ってきたんだ。


 ベッドまでは僕がリーナを抱っこして、寝かせてあげた。

 しかし、なんて気持ち良さそうに寝てるんだ。

 だいたい、あんなに飲みやすいお酒は危ないね。

 絶対、罠だよ。

 飲みやすいもんだから、どんどん飲んじゃってお持ち帰りされる。


 だから、今日は二人とも何事もなく、安眠出来る夜のはずだったんだ。

 それなのに真夜中、僕は妙な気配を感じる。

 ちょっと息苦しい。

 何かが身体の上にいるのかな?

 重みを疑問に思いながらも重い瞼を開いた。


「……なんだろ?」


 ぼやけていた視界がはっきりしてくると上に乗っかっているのはリーナだった。

 そうだとは思ったけどさ。

 敵意を持つ存在だったら、無意識に反応してるはずなんだ。


 問題なのは寝衣をちゃんと着ていた彼女が全部、脱ぎ捨てて、一糸纏わぬ姿になってるってことだよ。

 『暑いわぁ』と呟いてるから、自分で脱いだんだろう。

 長くて、きれいなプラチナブロンドの髪が裸体に張り付いて、凄く艶めかしい。

 アーモンド形のちょっときつく見える猫目がアルコールのせいか、とろんと蕩けたように僕を一心に見つめてくる。

 やばいと心の何かが鐘を鳴らして、教えてくれている。

 完全に目が据わってるじゃないか。

 近いよ! 顔が近いから!


「んちゅ……んっ」


 僕が唇を奪われていた。

 それもリーナの方から、情熱的に求めてくるような熱い口付けだ。

 甘い香りと味を彼女の舌から、はっきりと感じる。

 アルコールくさいのに嫌な感じを受けないのは彼女自身の発する香りのせいなんだろうか。

 こんなに積極的にしてくることないから、調子狂うなぁ。

 『お酒って怖いものなんだ』『違う一面見られるのも悪くないかな』とか、違うこと考えてないとこのキスだけで僕まで頭が変になりそうだ。


 おまけにいつもは恥ずかしがって、やらないくせにいそいそと僕の服を脱がしにかかっている。

 えらく手慣れているんだけどアルコールのせいで手慣れるって、あるのかな?

 『どうなってるんだ?』という心の中で湧く疑問に軽くパニック状態に陥ってる僕を無視して、リーナは一人で盛り上がってるようだ。


「あはぁ、みっけたわぁ」


 僕もアルコールのせいで頭がぼんやりしているせいだろう。

 全く抵抗出来ないのをいいことに全部、脱がされてしまったのだ。

 下半身を脱がす時、妙に艶めかしい声を出すもんだから、元気になってしまったんだよ。

 すごく無駄に自己主張しているのが自分でも分かる。

 血液が下半身の一ヶ所に集まるような妙な感覚だ。


「こんなところにぃ、あったんだぁ……レーオー、独り占めで食べるのぉ、ダメぇ」


 『え? 何言ってるんだ!?』と頭の中では考えてるのに体は正直なんだろうか?

 僕のモノはリーナの言葉だけで痛いくらいに反っている。

 さっきのキスでも十分に元気だったのにもっと元気になるとは思ってなかった。

 充血し過ぎて、あそこが痛い。

 何だろう、これもお酒のせいなのかな?


「熱いわぁ……すごぉく熱いのぉ」


 素面しらふだとそれ絶対、触らないよね!?

 信じられないことにリーナの白魚のような指が僕のモノを掴んでいた。

 艶めかしい姿しているのに妙にたどたどしい手つきで掴むもんだから、余計に反応してしまう。

 自分で触るのと違って、不思議な感覚だ。

 ちょっと冷やっとする彼女の手に握られているだけで気持ちいいのだ。

 『まだ、出ないからさ。やめようよ』と言っている白い僕と『出なくても気持ちいいものはいいから、いいんじゃね』と言っている黒い僕がチャンバラで戦っている。

 戦っている間に彼女の指は僕の敏感な部分をたどたどしいんだけど優しく、撫でるように扱いてくる。

 『いや、それまずいって』と思うくらい竿の部分を扱くもんだから、変な声が出そうだ。

 すると急にその動きが止まって、リーナは垂れてくる髪を気怠そうに上げながら…


「あはぁ……あむぅ」


 それ上級者のやつだから!

 リーナは焦らされたせいで既にヌルヌルになっていた僕のモノを咥えた。

 彼女の口が小さいのか、僕のが大きいんだろうか?

 先っぽの部分だけを口に含んで、舌先をチロチロと這わせてくる。

 それ、どこで習ったんだよ!?

 やばい、これは自分で触るのとは比べられない。

 気持ち良すぎて我慢出来ない。

 まずいって。

 しかも舐めるのうまくない!?


「ふわぁ……おいひくないふぁね(おいしくないわね)」


 ち、ちょっと咥えたまま、喋るの駄目だって!

 何言っているか、分かんなくて、かわいいし、八重歯が結構鋭いの分かってないね?

 僕はまだ大人になってないのに変な気分だ。

 たまにチクッと当たる八重歯が地味にやばい。

 リーナは咥えたまま、アイスキャンデー舐めるようにペロペロと舌を這わせてくる。

 これが本当にやばい。

 上目遣いに見つめられながら、されているのって、こんなに気持ちいいんだ…。

 大人になってないのがこんなにも辛いとは。

 これが蛇の生殺しか!


 僕のものを咥えて、刺激を与えるのに飽きたんだろうか?

 天にも昇るは言い過ぎかもしれないけど、例えようもないくらいの快感が急に取り上げられた。

 びっくりしてリーナを見るとさらに信じられないことしようとしてる。

 それ、酔っていて意識の無い時にやったら、いけないやつだよ!?

 彼女は僕の腰の上によいしょっと完全に騎乗っかった。

 上気して桜色に染まった顔はすごくかわいくて、色気があって。

 にへらと蕩けたような微笑みを見せると彼女は僕自身を自らの身体へと導こうとする。

 彼女も経験がないせいか、戸惑っているみたいでどこに導けばいいのか、分からないようだ。

 眉を下げて、困ってるリーナもかわいいな。

 いやいや、そんなこと考えてる余裕ないって!

 マジで駄目だって!

 二人とも喪失したのにアルコールで意識無いとか、最悪だからさ!!


 僕の願いは誰に聞き届けられたんだろうか?

 リーナは急にふっと意識を失って、しなだれかかってきた。

 あれだけ、大胆なことしてたのにすーすーとあどけない寝顔で僕に体を預けてくる彼女を見てると何があっても絶対に守りたいって改めて、思った。

 思ったけど……この盛り上がった気分はどこにぶつければいいんだ。


 しかし、あと三秒くらい遅かったら、完璧にアウトだったなぁ。

 僕はまだ、大人になってないから、喪失じゃないだろう。

 いや、喪失になるのかな?

 子種が出ないから、違うと思うんだけど、リーナは完全に喪失するよね。

 口に咥えるだけでもあんなに苦労してたんだから、僕のモノが子供でもなっちゃうだろうなぁ。

 でも、気持ちいいんだろうなぁ。

 したかったなと思う自分に多少の嫌悪感を抱かない訳ではない。

 お陰であれだけ元気だったモノが静まったようだ。


 お酒が抜けたリーナはこの状況でどう思うんだろう?

 少なくとも顔真っ赤になって、あわあわと狼狽える姿は容易に想像できるね。

 想像しただけで絶対、かわいい!

 いけない、また元気になってしまった……。


 だけど、あんな大胆に迫ってくるリーナは新鮮でいいなぁ。

 たまにお酒飲ませるの悪くないかな。

 むしろ飲ませるの有りだね!

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