揺れる帝国と王国
第11話 変革の刻
王城に着いた俺たちは王に面会を申し込んだのだが、いつもと異なりいくらか待たされた。間違いなく王国で何かあった、それは分かるが何があったのかはわからない。できれば巻き込まれたくないものだが、王国にはそれなりの恩があるので返すべき時なのであれば返したい。
「レイド様大変お待たせ致しました。」
メイドがそう告げると国王の普段いる政務室ではなく会議室に通された。
「おお、すまないな待たせてしまって、、。」
平生を装う国王であったが、何年も付き合いがあるレイドに見抜くのは容易なことであった。
「無事にスタンピードは鎮圧してきたぞ、なにかあったみたいだな。どうした。」
「おぬしにはわかってしまうか、、、。」
国王は苦笑いしながら話を続ける。
「実はな、旧魔王領内で帝国と揉めたらしいのだ。我が国の兵士が帝国の物資補給用の鉄道を壊したと捏造されてな……そのまま武力衝突して負けて大方の領土を取られてしまったのだ。しかも一応国家元首がいる独立国家という体だから下手に攻められないのだ……。あそこは立地的に経済運搬の重要地点であると同時に国防のかなめである要塞線があったのだ。どうしてくれようかと思ってな……。民からは帝国の今までの仕打ち、主に奴隷としての拉致などで不満がたまっているらしくな、、これ以上融和政策をとるわけにはいかんのでな……全面戦争か、どうするかで迷っているのだ。」
「なるほどな……俺は冒険者だ。冒険者ギルドの所属だが、最悪冒険者をやめてもいい。あんたにはそれだけの恩がある。なんとかできないかこっちでも動いてみることにする。」
「なっ!?おぬしはSランク冒険者だぞ!?ギルドのトップともいえるおぬしがギルド会則である『国家間の戦争には不干渉を貫くこと』という条項をやぶれば冒険者資格ははく奪になるぞ……。それは認められん。」
「まあまあ、何も武力で介入しようってわけじゃない。そっちはそっちで動いてくれ。でも最悪の事態になったら俺は冒険者をやめてあんたを守るよ。その時は騎士にでもしてくれ」
笑いながら会議室を去る。
「お義父さん、今度は俺があんたを助ける番だ。」
小さな声だが芯のある声で男はそう言った。
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