第127話 へーリック2




ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!




無数の爆発音が響き渡る。




「将軍!!!中央がもちません!!!」



中央の首都を覆う壁の上で指示を出している、

ミーン国の将軍は戦況を見ていた。



右の冒険者軍は流石といった所か、敵を押している。・・・・・しかし、中央の我がミーン軍と、左の傭兵部隊が苦戦を強いられていた。



「クソッ!・・・・・何なのだ・・・・・あの者達は・・・・・化物め。」



カルガラやレギアという機械でできた者達は前に見ていたので、対策を講じてきた。




しかし・・・・・指揮官だろうか。




それぞれ中央と左のクリスタル軍の先頭に立っている者があまりにも次元の違う戦いをしていた。








~~~~~~ 中央 ~~~~~~~






「怯むな!中央が突破されたら首都に突入されるぞ!第二部隊!・・・・・突撃!!!」



中央の戦場を指揮している隊長が叫ぶ。



オォォォォォォォォォォ!!!!



ミーン国の軍隊がクリスタル軍に向かって行った。




「・・・・・一斉に来ましたね。オブジェクト様。そろそろ我々部隊も参戦しま・・・・・。」




副官が、【7星】のオブジェクトに何か言おうとした所に、先頭に立っているオブジェクトが手で言葉をさえぎる。




「いらない。いらない。それじゃ俺の楽しみがなくなるっす。こんなに獲物がいるのは久しぶりっす。・・・・・ククククク・・・・・派手に吹き飛ばせるなぁ。」



そう言うと、目と両腕が光り、頭上に無数の光の玉が現れる。




「ほい。」



両腕を振ると、一斉に光の玉が向かってくるミーン軍に放たれた。




ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!


ドドンッ!!!!




光の玉が先頭の兵士に当たった瞬間、大爆発を起こす。




「ほい。ほい。ほい。ほい。」




ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!


ドドドドドンッ!!!!




ミーン軍の横一直線上に爆破が続く。



その爆破で土煙が舞った。



・・・・・爆破が終わり、煙が晴れると・・・・・・ミーン軍の第二部隊はほぼ全滅していた。




「はっはぁぁぁぁぁぁ!あ~気持ちい~っす!!!最高~っす!!!」




オブジェクトは、恍惚の笑みを浮かべながら言う。




「さぁ~!どんどんいくっすよぉぉぉぉぉぉ!!!!」




隣にいる副官は、その様子を見ながら思う。



・・・・・我がクリスタル国の最強戦力。

【7星】の一人。オブジェクト=ガラミアス。・・・・・別名【爆破の支配者】。



いつ見ても凄まじい。

あっという間に一万の部隊が全滅だ。



しかし・・・・・。



副官は左の戦況を見る。



左で戦われている【7星】の一人。

ノーマン=アルテミス。

・・・・・別名【死の王】。



この二人は、【7星】の中で一二を争う戦闘狂だ。



7星の権限は、皇帝の次に高い為、誰もとがめることが出来ない。



そんな二人を同時にこの戦いに参加させるなんて。・・・・・・だが、エルビス様がいらっしゃるから大丈夫とふんでいるという事か。




「ほい。ほい。ほい。ほ~い!!!」




ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!


ドドドドドンッ!!!!




光の玉を歩きながら放ち、次々に先のミーン軍を爆破で吹き飛ばす。



まだ一度も戦闘に参加していない副官とその部隊は、黙って【7星】、オブジェクトの後に付いていった。








~~~~~~ 左 ~~~~~~~






「なっ何なんだ!こいつらは!」



「おっおい!斬っても死なねぇぞ!・・・・・ガァッ!」




先頭で戦っていた傭兵は、次々に集団で襲われて食べられていた。




すると、その食べられた傭兵は、少し経つと、起き上がり同じ様にその集団に混ざると、傭兵部隊を襲う。



・・・・・そう。ゾンビだった。



クリスタル軍の先頭にいるノーマンは楽しそうに言う。



「フフフフフ。私の【ゾイ】達は、常に腹が減っているので気を付けた方がいいですよぉ~。しかも、その者の持っていた能力の倍の力になってますからねぇ~♪

・・・・・フム。相手も中々しぶとい。中々感染が広がらないみたいですねぇ。・・・・・もう少し出しましょうか。」



そう言うと、ノーマンが何かを呟くと、地面が黒くなり、続々と大柄なゾンビという名の【ゾイ】が現れる。



「この子達は、ワンランク上のゾイです。・・・・・さぁ!楽しませてくださいねぇ~。」



一斉に、新しく現れたゾイ達が、傭兵部隊へと向かって行く。




「ノーマン様。・・・・・我々はどういたしますか?」



隣にいる副官が言う。



「ん~?これは私の獲物です。貴方達が出たら、楽しみが減るでしょ~?だから、待機しててください。」



「ハッ!」



まだ一度も戦闘に参加していない副官とその部隊は、黙ってノーマンの後ろで戦況を眺めていた。










☆☆☆










キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!



キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!



キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!



キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!




・・・・・何だ?こいつは。




SSS級パーティの【7剣星】リーダー、ライン=ジョイは相手と戦いながら思う。



こちらは、パーティ全員の7人。



同時に剣で攻めているのだ。



それなのに、剣が相手に届かない。




・・・・・嘘だろ?




こんな事、前に、天武祭の決勝戦でレイ=フォックスと戦った時以来だ。



あの時、一人に何も出来なかった我々は、彼の剣に近づける様に鍛えた。



いつかまた、再戦する為に。



おかげで、レベルもあれからかなり上がっているのだ。



でも目の前の男には届かない。



あの時と同じ様に、圧倒的な実力差を感じていた。



しかもあの光る長剣を、我々の剣速よりも速く振っている。



あり得ない事だ。





キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!



キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!



キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!



キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!




「ハァッ!」




メンバーの一人、キューブが他のメンバーが戦っている隙をついて、男の脇腹めがけて一刀を入れる。




入った!




ザンッッッ!!!




キューブが思った瞬間、自分の首が飛んだ。





「キュュュュュュュュュュュブ!!!!!」





ラインが叫ぶ。




残りの五人は、一旦、ラインの後ろへ下がる。




斬ったその男はゆっくりと、剣を振り、血を払い、こちらを見て言う。




「中々強いな。・・・・・フフフフフ・・・・・・ハハハハハハハッ!!!いいぞ!・・・・・いいぞ!!!どうした!もっとかかってこい!」



エルビスは嬉しそうにライン達に言う。



やはり戦場はいい。



この様な、骨のある剣士達と出会えるのだからな。



久しぶりだ・・・・・私と戦ってここまでもった者は。もっと楽しみたいが・・・・・早く制圧するのが先決・・・・・か。




「ライン!どうする?」



肩で息をしながらボイルが言う。




・・・・・相手は一人だ。こちらはまだ六人。どんなに実力が離れていても、今ならまだ相手の隙をついて、技を叩きこめる。




エルビスは、ゆっくりとこちらへ歩を進める。



ラインはメンバーに目で合図すると皆が頷く。




「いくぞ!!!!!」




「「「「  【瞬歩】!!!  」」」」




六人全員が消える。




エルビスはその動きを見ると、体を少し揺らした。




ライン達は、目にも止まらぬ速さでエルビスの元へと移動すると、同時に体めがけて斬りこむ。




全員、剣が届くと思った瞬間。




エルビスの体を剣がすり抜ける。




バッッッッッッッッ!!!!・・・・・・・・・ギィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!




斬られた五人は血が舞い、その場に倒れ・・・・・絶命した。




リーダーのラインだけが、二本の剣、

愛刀【破双剣】をクロスして長剣の一刀を防ぐ。




自然だった。




一度、レイ=フォックスと戦って、その動きを見ていたラインは、自然と体が動いていた。




「奥義!破壊双刀!!!」




ギャィィィィィィィィィィィィィィィィィィン・・・・・・・・・




そのままクロスした双剣を横に振り、長剣を破壊する様に弾く。



エルビスは、長剣を弾かれ、胴ががら空きになる。




ここ!!!!!




「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」



ラインはそのまま双剣をエルビスの胴へと斬りこむ。




「・・・・・見事だ。楽しかったぞ。」



双剣が入ったと思った瞬間、先程と同じ様に、体をすり抜ける。




・・・・・ごめん。皆!




避けられ、ラインは覚悟する。




エルビスの長剣がラインの首元へと振り下ろされた。




「オラァァァァ!!!!!!」



ギィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!




隣から斬りこんできたハルバードを、すかさずエルビスは防ぐ。




ザァァァァァァ。




その剣圧に、エルビスの体は数メートル後ろへと飛ばされる。




「ライン!大丈夫か?・・・・・勝手に死ぬんじゃねぇ!!!!!」




割って入ったのは、【たぬき】のクランマスターカズキだった。




「いったん引くぞ!」



すぐに、ラインの腕を取ると、二人は駆けていった。





「・・・・・エルビス様。」



エルビスは立ち尽くしていると、副官が近づいて声を掛ける。




「・・・・・あぁ。そうだったな。・・・・・久しくここまで戦った事がなかったからな。少し楽しんでしまった様だ。・・・・・それでは、後は頼んだぞ。」



「ハッ。」










エルビスはそう言うと、その場から消えた。




























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