第9話 白雪

リアルの休日の朝6時。


まず僕は体を動かす為に、マラソンをする。


10k位は走る。その後はずっとこもるので、一日の成人男性の摂取カロリー位は消費しないと太るいっぽうだからだ。しっかり走って汗をかいた後は、シャワーを浴び、朝食を取り、いざ『真実の世界 THE WORLD OF TRUTH』へ。


年末年始の休みの間はこれでいこうと思う。


今はこことは違う世界が楽しくてしょうがない。




☆☆☆




ログインし、ゆっくりと目を覚ます。



「ん?」



何だろう、腕をだして伸びをしようと思ったら何か左の腕に柔らかい感触が・・・・・。


左を見ると布団がこんもりしている。


ん???


左腕は動かせないのでゆっくりと右手で布団をめくってみた。


すると女の子が裸で寝ていたのだ。



「はいぃぃぃぃぃ?」



慌ててベットから落ちる僕。


「いてっ!」


いやいやいやいや!どうした?何があった?昨日は居なかったよね?


何が何だか分からず頭が混乱していると、



「ん・・・・・。」



女の子が目を覚ます。

ゆっくりと起きようとするので、


「待った!待った!今君裸だから!布団からでないで!ちょっと待ってて!」


慌てて静止する。


周りをみても女の子の服がない。


仕方がないので、僕のパジャマ用の服。一応予備でもう一着あるのでそれをだして女の子に渡した。


「ごめん。今はこれしかないからこれ着てくれるかな?」


「ん・・・・・。」


女の子に服を渡して、布団の中でもぞもぞと着てくれている。


まだ理解がついていかない。なぜ僕の布団に女の子がいるんだ?


とりあえず着てくれた女の子が布団から出た。男物の服だからブカブカだ。僕も床から起きて、彼女を部屋にある丸テーブルの椅子に促してから話を始める。


あらためて正面からよく見るとこの世のものとは思えない程、とても綺麗でかわいらしい女の子だった。年齢でいうと15か16歳位だろうか。身長は150後半といった所。


整った顔立ち。肩位まである雪のように白い髪。透き通った真っ青な瞳。そして白い肌。超僕好みである。いかんいかん。おっさんが変な考えをおこしてはいけない。


まずは純粋な質問をぶつけてみる。


「え~・・・・・。まずは聞きたいんだけど。どうして僕の隣で寝ていたのかな?」


「マスターが寝ていたので、私も一緒に寝たの。」


「へ?マスター?」


何を言っているんだこの子は。


「私の名前は、白雪。そこにある剣の精霊にしてマスターに仕える者。」


なんだって?


「ちょっ。ちょっと待って。」


目の前の女の子に向かって唱えてみた。


「アイズ。」 


女の子の頭上にステータスが表示された。



白雪 WHITE SNOW  精霊人 レベル47 スキル <精霊魔法>

愛情が2,000になった事により精霊化が可能となり、精霊人となった。

愛情が3,000になった事により共に仲間として戦える事ができる。

ステータスは全て主の80%の能力となる。

精霊化の時は、剣の持っている能力。攻撃力、速さも80%となる。

剣へ戻る事も出来る。その時は100%となる。又、主と共に成長する。



・・・・・なんだこれ。



精霊化?そんな事ができるの?愛情をあげる事で?


これはすごいぞ。


モテ効果じゃなければ、愛情がどんな効果をもたらすかは正直分からなかったが、ここまで上がればこんな効果が発揮するのか。


しかし、運営もひどいな。この数値はとてもじゃないが、普通に伸ばしてもいかないだろう。まぁ~その分超レアなんだろうけど。



「・・・・・なるほど。うん。分かったよ。君を呼ぶときは白雪でいいんだね?」


「はい。マスター。」


「これからは仲間として一緒に行動を共にする。ということでいいんだね?」


「はい。マスター。」


「・・・・・了解。これからよろしくお願いします。」

と笑顔で言って僕は手を差し出す。


「はい。これからよろしくお願いします。」

白雪はちょっと恥ずかしそうな顔をして手を握り返した。


・・・・・何かドキドキするわ。いかんな。これからずっと一緒ならちゃんと割り切らないと。


「それじゃ~まずは白雪の服を買いに行こうか。それからは、ちょとお茶しながら今後の話をしよう。」


「はい。」


リアルでも女性とのお付き合いは一回しかない僕だ。緊張するがしばらくすれば慣れてくるだろう。普段通り接していこうと思う。




宿屋をでて、すぐに女性専門の店へと直行した。僕は入らずに入口で店員さんに声をかける。


「すみません!ちょっといいですか~!」


まだ店を開いて間もない為か、お客さんはまだ少ない。すぐに気づいて来てくれた。


「はい。いらっしゃいませ。どの様なご用件でしょうか?」


「すみません。彼女に合う下着から寝間着、普段着をある程度取り揃えてもらえないでしょうか?全て買いますので。」


そう言ってブカブカの僕のパジャマ用の服を着ている白雪に目を向けた。


「あらあらあら。とても可愛らしい彼女さんですね。分かりました。すぐにご用意いたしますね。彼氏さんも一緒に来ますか?」


「彼氏っ。いやいや仲間ですから。外で待ってますのでよろしくお願いします。」


慌てて言って僕は外で待つことにした。


連れられて行く白雪を見ると頬が赤くなっているのが見えた。




結構待っただろうか、店員さんに呼ばれて行くと、数段に綺麗に可愛くなった白雪がいた。


「お~!とてもよく似合っているよ。」

思わず声がでた。


「・・・・・ありがとう。マスター。」

頬を赤く染めながら白雪が答える。


「これの他にも数着取り揃えましたが、どういたしますか?」


「全て買いますのでお願いします。」


店員さんは喜びながら袋に詰めていく。とりあえずはこれで一安心だ。


結構時間がたったので、店をでて昼飯を食べにこれまたシェリーさんに聞いたおすすめのお店に向かった。




「マスター。こんなに買ってもらって大丈夫なんですか?」


結構な点数を買ったので金額は10万G位かかったがしょうがない。


「大丈夫。大丈夫。僕には気をつかわないでね。」


「分かりました。」


店に着き、昼なのでテラスで軽めにサンドイッチみたいな物を食べながら今後の話をする。心地よい風が吹き抜ける。いい店だ。


なんだろう、やけに視線を感じるのは気のせいだろうか。


「今後なんだけど、まずは、冒険者協会に行って鑑定した報酬を取りに行こうと思う。そういえば、この間戦ったダンジョンって・・・白雪は覚えているの?」


「はい。剣で常にマスターと共にあったので。マスターが私を手に取った時から覚えています。」


「なるほど。」

という事はずっと見ていたのね・・・・・ちょっと恥ずかしいな。


「え~。その後は、ダンジョンに行く為の食材や飲み物、ポーションを買って、最後に僕と白雪の冒険者用の装備を整えよう。」


防御力がないと結構厳しいのが痛いほど分かった。自分より上のレベルの魔物としか戦ってないが、攻撃をくらった時にだいたい30~50%ライフがもっていかれた。


これだと、数撃で死ぬ計算である。


攻撃を受けたくはないが、もし何回も受けた時にすぐには死なない様にしたい。だからこそ、防御力も高める必要があった。でもカッコよくない厳つい防具はやなんだよなぁ~。


そこにはこだわりがあるのだ。とにかく店に行ってから検討しよう。


「・・・・・で後は情報収集かな。もっとこの国と町を知りたいからね。そして全て準備が揃ったら次のダンジョン。高レベルダンジョンに挑戦しようと思うんだ。」


他にもクエストだったり色々とやる事はありそうだが、まずは冒険者にとって分かりやすいダンジョン攻略をこの国でやる。それから次の事を考えよう。


高レベルダンジョン。


まずはここまでを目標として進めようと思っていた。


「分かりました。マスターの意向に従います。」


固いんだよなぁ~。まぁ~知り合ったばかりだからしょうがないか。ゆっくりと打ち解けられるようにがんばろ。


そんな感じで、食べながら話していると、後ろから声をかけられた。


「君。ちょっといいかな?」


振り向くと、昨夜、ガクさんに絡まれていたパーティだった。




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