第39話 変態、光景を思い浮かべる(ルナ)
【ルナ】
なっ、ななな……なんですのこれは! 破廉恥ですわよ⁉︎
特待生のみなさんと決裂してしまったわたくしは水着屋へ場所を移しましたわ。
下着や水着などの新調は久しぶりですから、最初こそ物色を楽しんでおりましたの。
ですが、ただ可愛いだけでなく、セツナが喜びそうなものを——。
そんな思考をしながら見定めていることを自覚したとき、鬼畜講師の掌であることを自覚しましたわ。
うう〜。失態でしてよ。生理的に抵抗ある殿方を喜ばせるために自ら刺激的な水着や下着を選定。
あの鬼畜がやりそうなことですわ。なによりそれを誘発してみせたあの男の神算鬼謀。底が見えないですわ。
一体どういう思考回路をしているんですの。
それにまんまと乗せられたわたくしも猛省する必要がありますわね……。
ですが、セラさんたちにもその一責はあるとは思わなくて?
奴隷紋を以て命令されていたなら諦めもつくというもの。ですが、今回は誘導のみ。全員で
なのにセラさんと来たら……「だって私、美人だもの」——傲慢にもほどがありますわ! いくら主席合格だからって言って良いことといけないことがありますの!
「でも、さすがにこれは過激ですわね……」
手に取ったヒモ水着はVカットハイレグ——ほとんど全裸。
どう考えても殿方が性的興奮を憶えるために設計された水着ですわ。
……この羞恥と引き換えに『色違い』が手に入ると思えば——いやいや、いくらなんでも、はしたなくてよ……ですが。
逡巡。
肌面積が99%のそれを手に持ちながら云々唸るわたくし。
とっ、とりあえず購入して後でゆっくり考えればいいんですわ。
この屈辱は他のみなさんも憶えていることでしょうし、もしかしたらまだ
ええ、そう。そうですわ! 決して、決してわたくしはこのVカットハイレグをセツナに披露したいわけではなく、あくまで『黒雷』のために——。
「えっ、嘘でしょ、ルナ⁉︎ あんたまさかそれで参戦するつもりじゃないでしょうね⁉︎ やっぱり痴女エルフじゃない!」
ひぃっ!
突然、話しかけられたわたくしの心臓が飛び跳ねますの。
振り返るとそこにはドン引きしたロゼさんが指を差しながらあわあわと慌てた様子。
ゆっくりと状況を飲み込むわたくし。
手に持っているのは超が付くほどの過激な水着。
修練場で啖呵を切った記憶がフラッシュバックしましてよ。
「ふふっ。こうなっては仕方ありませんわね。本意ではありませんけれど、女としての魅力はわたくしに敵わないことを思い知らせて差し上げますわ」
ボンッ。そんな音が聞こえてきそうになるぐらいには全身が熱を帯びていることを自覚しますの。恥辱。屈辱。自惚れ。そういったものが一斉に感じましたわ。
「あっ、いや、これはその——違うんですの!」
わたくしは立ち去ろうとするロゼさんに制止しようと後を追いかけます。
「ちょっと付いて来ないでよ痴女エルフ!」
ちょっ、ロゼさん⁉︎ 公衆の面前ですわよ! 言って良いことと悪いことがなくて⁉︎
屈辱ですわ……!
よりにもよって年下のロゼさんに目撃されたあげく痴女扱いなんて!
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