半ドラゴラ、満ドラゴラ

獅子吼れお

半ドラゴラ、満ドラゴラ

【知らないと損?!マンドラゴラの正しい選び方】


年末になると食卓に並ぶマンドラゴラ。日本の風物詩ですね。

和食が無形文化遺産に登録され、世界的に注目を浴びるマンドラゴラ。


(街頭でマンドラゴラを食べる外国人の映像。「こんなにおいしいもの、私の国にはないわ!」(イギリス人女性)「えぇーっ、日本人はこんなのを食べるのかい?」(ベトナム人男性))


しかし、多くの人が知らないのが、スーパーで売られているマンドラゴラの選び方。

実はあるポイントを抑えて選ぶだけで、半ドラゴラではなく、おいしい満ドラゴラを選ぶことができるんです!

番組で紹介した方法で選んだマンドラゴラと、普通のマンドラゴラを食べ比べてもらうと……


(マンドラゴラの刺身を食べる人々の映像。「うわっ!全然違う!」「発狂しそ〜!」「この狂い味、本場のマンドラゴラだね!」)


今日は明日から使えるマンドラゴラの選び方をご紹介しちゃいます!


(拍手)


(中略)


「さて、スタジオの皆さん、こちらが皆さんが普段食べているマンドラゴラ、そしてこれが超高級ブランドマンドラゴラ……『万ドラゴラ』です。まずはこれを食べ比べてもらいましょう」

「すっごーい!狂味が濃厚!」

「これが『万ドラゴラ』なら、普通のは『10ドラゴラ』ぐらいですね」

(会場笑)

「そしてこれが、スーパーで売っているマンドラゴラから、ある方法で選んだマンドラゴラです、どうぞ食べてください」

「えっ!狂ーい!」

「『万ドラゴラ』ほどじゃないけど、『千ドラゴラ』ぐらいありますよ!」


(中略)


「というわけで、皆さんがいままでなんとなーく選んでたのは、半ドラゴラか2/3ドラゴラだったんですねぇ!」

「満ドラゴラいってなかったんですねー」

「なのでいまいち狂味が薄いというか、鮮度が低くなるとやはり狂味も揮発しますのでね、半ドラゴラ程度になっていたわけです。では、どうすればスーパーでも鮮度の高い満ドラゴラ、全ドラゴラを選ぶことができるのか!その方法は……CMの後!」


(中略)


「こうして、抜いたばかりのマンドラゴラの狂味は億ドラゴラほどあるんですね」

(狂った担当者がマンドラゴラの足をひろげながら話す)

「抜いた瞬間から品質はどんどん下がって行って、みなさんの食卓に届く頃には100ドラゴラほどになります。私たち生産者としても、これはとてもつらい現状です」

「工夫としては、産地ではなく小売店でマンドラゴラを引き抜いて販売してもらうなどがありますが、店員が発狂することも多いのであまり普及していません」

「また、ブランドものの泥付き全ドラゴラは、引き抜くための器具などもセットで、マンドラゴラを植えたまま発送するなどしていますが、お客様が発狂するリスクもあり……」


(中略)


「というわけで、皆さんも合点していただけましたでしょうか!明日から満ドラゴラを選んで、おいしいマンドラゴラライフを!」


(以下、高速テロップ)


※番組で紹介した内容は諸説あります

※紹介した方法で必ずしも満ドラゴラが選べるとは限りません

※実験は専門のマンドラゴラ農家の監修のもと行っています。決して真似をしないでください。同じことを試した場合発狂いたしますが、責任は負えません

※売り場で発狂した場合はただちにお近くの保健所職員までご連絡ください

※この方法をマンドラゴラ以外に対して行なった場合、発狂・自我喪失・肉体の変質などの現象が起こる場合があります。絶対にマンドラゴラ以外で試さないでください

※特に人間に対して行なうと、最終的にマンドラゴラに変質する場合があります

※そうしてマンドラゴラになった人間は兆ドラゴラになります

※マジで狂味い



【「テレビで見た」マンドラゴラ化多発】

日本各地で、人間のマンドラゴラ化が相次いでいる。容疑者はいずれもNNK系テレビ番組で方法を見たと供述しているが、NNKではそのような内容を放送したとの事実はないと回答


(後略)

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