特別編 アナタは愛しのファンティーヌ2

「今日その…実は僕誕生日なんだよね」

金曜日。

温室で二人で楽しくお茶会をしている中、エイトは初心者麻雀本を閉じながら眉を下げてエンジェフラワーへと笑いかける。

ポロ、とエンジェフラワーの口からクッキーが零れ落ちた。

「え、」

エンジェフラワーが言葉を零せば、エイトの肩を掴む。

「なんで言ってくれなかったんですかエイトちゃん!」

その言葉にエイトが申し訳なさそうに頬を掻いた。

「エンジェだって当日に言ったじゃないか。だから、その…そういう事、かな」

ボソボソと小さな声でエイトが呟いた。

照れくさくなったのか、本で顔を覆う。

耳まで真っ赤な彼女の姿。

エンジェフラワーは察したのか、くすくすと笑えば彼女から本を取り上げた。

林檎のように赤く染ったエイトの顔が現れる。

そんな彼女の姿に楽しそうにエンジェフラワーはエイトの膝の上へと乗った。

そして、彼女の両頬を手で覆う。

こちらへと顔を寄せさせれば、耳元で優しく囁いた。

「誕生日おめでとうございます、エイトちゃん。だぁいすきですよ」

彼女の耳から顔を話せばくすくすと楽しそうに笑う。

エイトの顔は林檎以上に赤く染っていた。

そんな彼女の姿に愛おしそうにエンジェフラワーは琥珀色の瞳を細める。

エイトは咳払いを一つすれば遠慮がちにエンジェフラワーの腰へと手を回し抱き締めた。

「まったく…君にはかなわないよ」

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