五十三章 一目惚れスピリチュアル
今思えば、あの時の出会い。彼女を見た時の己の心情は一目惚れだったのかもしれない。
彼女の瞳に咲く毒々しい紫色の花に栄斗は、いいや魔法少女エイトは心惹かれた。
エンジェフラワーの中身が男だとは、頭ではわかっている。
この学園のどこかに居ることを知っている。
期待は決してしていない。
ただ、エンジェフラワーという魔法少女の存在にエイトは惚れたのだ。
まあ、栄斗がそれを彼女へと伝えることは無いだろう。
机から立てばマーチングバンドの指揮杖をしっかりと握りしめる。
それを胸元へと当てれば願いを込めるようにコツン、と額を触れさせた。
「エンジェの姿を知りたいな…いつか、教えてくれる時が来るよね」
そう呟けば瞳を細めて穏やかに微笑む。
どうか、大好きな君に僕の気持ちが届きますように。
月に祈った。
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