笛の音は遠く彼方から4
楽しい楽しいお祭り。
羽灯縁祭のそんな傍ら、メリルは学園長室でお茶を飲んでたしなんでいた。
「最近の調子はどう?」
大きな椅子。見るからに地位の高いであろう椅子に座っている女性がメリルへと問いかける。
桃色の瞳がじ、とメリルを見つめた。
そんな彼女の言葉に考えつつもメリルは目線を上に上げ、唇に人差し指を当てる。
「うーん……まあ、ぼちぼちかなぁ…?」
それなりにみんな頑張ってくれてるよとピースすれば目元に当てる。
その言葉と仕草に女性が溜息を着いた。
「あー……なるほど。また、不発、ね……」
頭が痛いのか片手で頭を覆えば再び溜息を着く。
そんな姿にメリルは笑った。
「まあまあ、みくちゃん落ち着いて落ち着いて☆」
持っていたティーカップを机へと置けば、大丈夫だよとぐ、と両手を握りしめる。
そんなメリルの姿に、さらに
「啓示者のアナタがそんなんじゃ…これから先が心配だわ……」
どうしたものだか……どうしましょうとくるくるとティーカップの縁を指先でなぞる。
その言葉にははとメリルが笑った。
「あーね……私も、もっと頑張りたいんだけどね~☆」
そう言いつつも眉を下げれば紅茶へとへとポトポト、と砂糖を落とす。
そして目を伏せれば苦笑いした。
「ただ、核が増えちゃったからさ………ごめんね☆」
てへ、と謝りつつもスプーンを取れば、くるくるとティーカップの中で砂糖を溶かすように回す。
みくりは苦虫を噛み潰したような顔をすれば大きく溜息を着いた。
「核……増えたのね……それは探す手間が増えたわ……」
どうしましょうと小さく呟いた。
そんなみくりの姿にメリルが眉を下げた。
「だからね、魔法少女を増やしてるから安心して欲しいな☆その為の魔法少女だもんね!」
大丈夫だよ!とメリルが胸に手を当てた。
その言葉にみくりは頷く。
「まあ、そうなのだけれど……一応、向こうにいる笛のお姉さんには情報収集を頼んでは居るわ」
その言葉にメリルはよかったと手を合わせた。
「いい情報が入ってくるといいなぁ……☆」
そう、呟けば窓の外を見つめる。
みくりが頷く。
「そうね…」
早く会いたいよ、お兄ちゃん。
そう、心の中で呟いた。
空は青く澄み渡り、部屋の外ではガヤガヤと生徒たちで賑わっている。
そんなみくりを見つめながら、メリルはずっと首にぶら下げていた指輪の付いたネックレスを取り出した。
指輪を左の小指へとはめる。
そっと、指輪へと口付ければゆっくりと瞳を閉じた。
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