二十四章 夜の祭りにはカボチャを添えて
秋、と言えばなんの行事があるだろう。
特に何も思いつかないかもしれない。
でも、高校生にとったら大きな行事は秋にやってくる。
それが羽灯縁祭、云わば文化祭。
この文化祭は三日に渡って開かれる。
沢山の模擬店や、他校からの学生がやってくる、そんな一世一代のお祭りだ。
そして今、標は忙しく焼きそばを焼いていた。
「おい、次は何人前だ!」
標が大きな声で叫ぶ。
文化祭用にクラスで作った黒いTシャツは暑くなったのか袖を託しあげてノースリーブにし、頭には汗が垂れてこないようにタオルを巻いている。
いかにも焼きそば職人だ。
黒いTシャツにエプロンを掛けた之彦が標に叫んで伝える。
「三人前!三人前お願い!」
もうすっかり秋だというのに鉄板の熱さのせいか夏の時のようにぽたぽた、と汗をかく。
手際よく焼いた焼きそばを三つ分、透明な容器に入れれば隣のクラスメイトに渡す。
隣のクラスメイトと言葉を交わし、クラスメイトが輪ゴムを透明な容器へとはめる。そして、箸を三つ、焼きそばの容器に順々にさせば。之彦に渡した。
「ありがとう、橘くん!」
之彦が礼を言う。
「おう、どういたしまして」
軽く返事をする橘というクラスメイトと拳を交わした。
そして、渡された焼きそばを客に渡し、チケットを貰う。
そんなサークルが出来ている。
休憩時間まで大忙しだな、と教室の外まで伸びる客の列を見て之彦は苦笑いをした。
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