それはショートケーキの中にある2
今日は日曜日。
目覚ましの音で起きればゆうきは魔法少女が集う場所、温室へと向かう。
今日は一人だった。
変身もしていない。
魔法少女で来いとは言われなかったからだ。
実はまだ、ゆうきは魔法少女の姿に慣れてはいなかった。
ヒラヒラスカートや長い髪。しなやかな指先。
そんな自分の姿に、まだ違和感を覚えていた。
シモンくんやユアくんは慣れているのだろうか。
ふと、そう考える。
今日は二人でドリームイーターの討伐に向かっていた。
魔法少女は二人一組のペアで動いている。標と之彦。つまり、シモンとユアは相棒だった。
しかし、ゆうきには相棒がいない。
今日は相棒を紹介するとメリルに呼び出されたのだ。
一体どんな人が相棒になるのだろう。同じ一年生の子だろうか。
そうしたら会ったことない人だろうな。
仲良く出来たら良いけれど……
色んな想いが駆け巡る。
不安と緊張、そして期待がゆうきの胸を踊らせた。
「こんにちは、お疲れ様です」
お邪魔しますと温室の扉を叩いては中へと入る。
中に入ると生暖かい風がゆうきの身体を掠める。
土の匂いと花の匂いが広がっていた。
道に沿って奥の方へと進んでは魔法少女の集う場所がある。
入ってきたゆうきに気づいたのか椅子に座っていたメリルが立ち上がって両手を振る。
「わー!ゆうきくんいらっしゃい☆」
ぺこり、とゆうきはお辞儀をした。
「こんにちは、メリルさん。後、メルル先輩」
メリルの隣に座ってお茶を嗜んでいたメルルへとお辞儀をする。
照れくさそうにメリルがこんにちは、と呟く。
何故か分からないけれど、どこか緊張しているようにみえた。
「メルル先輩どうしたんですか、そんなにソワソワして」
「え、な、そんなにソワソワしてないわよ!」
図星を突かれたのかカタカタと持っていたティーカップを震わせた。中に入っていたミルクたっぷりの紅茶がぽちゃ、と揺れる。
「ふふ、メルルちゃん緊張してたもんね☆」
「なっ、緊張してないわよ!」
「そんなこと言っちゃって~ゆうきくんと相棒になるの楽しみで眠れなかったんじゃないの?」
ニヨニヨ、とメリルが笑う。
メリルの言葉にメルルが顔を真っ赤に染めた。
「そ、そんなわけないでしょ!ちゃんと寝れたもの!」
「あ、僕の相棒メルルさんなんですね」
安心しましたと言うゆうきの姿にメリルがメルルの肩を小突く。
「そ、そう……安心したなら良かったわ」
メルルが紅茶の入ったティーカップを机へと置けばゆうきへと手を差し伸べる。
「これから相棒として、宜しくしてくれるかしら?」
メルルがゆうきへと手を差し伸べる。
「勿論です」
よろしくお願いします、メルル先輩
にこり、とゆうきが笑いつつも手を握り締めた。
にこにこ、と椅子に座り直したメリルが二人の様子を見ている。
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