シンデレラはガラスの靴を残さず7
日記はここで途切れていた。
嗚呼、そうか。魔法少女になった時、彼はそう、望んでいたのか。
彼の願いがわかった瞬間だった。
そして、日記をそっと閉じる。
二人に見せるのは止めよう。きっと彼も知られたくは無いだろう。
ゆうきは祈るように、願うように、そっと瞳を閉じる。
「大切な人に会えるといいですね、子音くん」
手の中には己がずっと探している大切な人から貰った指輪が握り締められていた。
そして二人にこう言いたかった。
『 詳しいことは話せません。でも、子音くんは無事ですよ。自分のしたい…ううん、しなきゃいけないことをしに僕らの前から消えただけです。だから、帰ってきたらおかえりって言いませんか?』
そしたらきっと二人は頷いて、自分の事を抱きしめて、一人で抱え込むなって言うだろう。
嗚呼、なんてとても温かくて優しい人たちなのだろう。
だからこそ、言えない。言ってはいけなかった。
ゆうきは洗面所にいる二人に見つからないように、自分の机の中へとその日記を隠すように入れる。
彼らを、大切な貴方達を巻き込みたくはなかった。
僕が強くなって二人を、いや、三人を守ります。
洗面所からゆうきを呼ぶ声が再び聞こえた。
はい、と元気よく返事をすれば二人の元へと向かう。
窓の外の太陽はゆっくりと雲に覆われていった。
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