シンデレラはガラスの靴を残さず6

ずっと何か思い出せないでいたんだ。

何かが欠けているような……そう、例えるなら、誰かが消えてしまって、なかったことになっているかのような…。そう、ずっと分からなかった。ずっと気になってはいたんだ。でも、日常生活に支障がないならと後回しにしていた。

あの日、魔法少女になる瞬間。いや、君たち魔法少女を見た時、その事を思い出して酷く頭に残ってしまっていた。思い出したい…いや、これは絶対に思い出さなければならない。


そしてメリルさんに願ってしまった。

『 忘れちゃいけないことを忘れてしまって思い出せないんだ。それを思い出したい。』


変身した時、子音が魔法少女になった時、記憶が流れてきたんだ。


優しく頭を撫でてくれる手。

喧嘩をした後に心配そうに此方を見つめる眼。

泣いている自分を慰めてくれる穏やかな声。

自分の手を、引いて笑う、彼……。


ああ……なんで忘れていたんだろう…………

彼は_______。


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