シリウスは幻を生みだす3

己たちを包み込む大きな影。

木から柳のように垂れ下がる葉。

いつもとは違うドリームイーターの姿に四人は戸惑いを隠せずにいた。

「なんなんだ、このバケモンは……」

シモンが声を思わず零した。

「デカスギル、コウゲキアタラナソウ……」

カナリコワイとユアが顔を青くさせている。

「どうしましょう……ひとまず僕が殴りますか?」

ユキが三人の方向いて首を傾げた。

「いやいやいやいや」

思わずシモンが声を上げる。

ユキの肩を掴めば真剣な顔を近づけた

「やめろ、とにかくやめろ、怪我だけじゃ済まないぞ」

かっぴらいた目に凄いなぁと思いつつもはい、と小さく呟く。

「何の属性が分かれば良いんだけどな……」

シモンが眉間に皺を寄せて腕を組んだ。

「確かに……属性の相性があったんでしたっけ?」

ユキが首を傾げて問いかける。

「嗚呼、ドリームイーターにも僕達にも五つの属性があるんだ。その中で一つの属性を使える感じかな」

こくりこくり、とシモンが頷く。

「タシカ、ミズ、ヒ、カミナリ、ツチ、カゼ、イツツアル」

ユアが指を折り数えた。

「そうだったんですか」

ほう、と興味津々にユキが頷く。

「へぇ~知らなかった!」

感心したようにユキとリメが頷く。

「二人は魔法少女になったばかりだろう?分からないことあったら聞くよ。この状況で答えられるかは分からないけど」

確かに……と苦笑いをする三人。

そうこうしているうちにドリームイーターがこちらへと迫っていた。

「クラゲみたいなドリームイーターだから水が電気かって所か?」

シモンが首を傾げる。

「確かに……そっちの方面ぽいですね」

とりあえず逃げましょうか。

ドリームイーターがこちらを向く。四人の存在に気がついた。

「やべ、逃げるぞっ」

シモン達が駆け足で走る。

ドリームイーターが想像の遥か倍の速さで追いかけてきた。

「うっそだろ!?!」

「めちゃくちゃ早いですね!?」

「ドリームイーター、ハヤイ!コレハキケン!」

「もぉ、やだぁ~~~~~」

四人が全速力で走る。

赤く染った空はとても不気味な空気を醸し出していた。


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