うさぎは今日も月への憧れを胸にとぶ10

トン、と地面へと足を付ける。

変身が終われば皆で顔を合わした。

「よし、変身完了っと」

シモンが腰に手を当ててふふん、と得意げに意気込む。

己の変身姿。ユキはふわふわとした白いドレスを鷲掴む。

「なんか、慣れませんね……少し照臭いです……」

照れくさそうに頬を赤めるユキにシモンがあっ、と声を上げてにこにこ、と笑った。

「へえ、ゆうきはそのままなのね」

その言葉に首を傾げるユキ。

ユアがシモンの言葉に補足をする。

「クチョウ、ソノママ、メズラシイ」

その言葉にユキが瞳をぱちくりとさせた。

「えっ、そうなんですか?」

うーん、とシモンが口許に手を当てて首を傾げる。

「まあ、魔法少女になってすぐだからそんなもんなのかもね」

シモンがまあ、ユキらしくて良いじゃないと肩をぺちぺちと叩く。

「確かに……ゆきひ、違って……」

ユキがしまったと口を抑えた。

「ユア!ヨロシク!」

ユアが元気よく手を上げる。

その姿にユキが興味津々に彼女を見つめた。

「ユアくんの口調変わってますね」

ユキがユアの方を見る

「クチョウ、ミタメ、シャベリカタ、アッテル」

ね、と己の頭に生えた電気出できたような透明の耳を指さした。

「なるほど。確かにそうですね……」

納得したのか頷いた。確かに魔法少女の姿は電気系の魔法少女のせいかカタコトの方がしっくりとくる。

「二人で考えたんだよな、ユアの喋り方」

シモンがユアの肩に腕を起きつつくつくつ、と笑う。

「ソナノ、シモン、シャベリカタカンガエタ、セッカクダカラ」

コノママ、とニコリと笑っている。

シモンの事だからきっと巫山戯半分で言ったのだろう。でも、ユアもしっくりきているので何も言うまい、と首を軽く横に振った。

カタン、と背後から音がする。

「ドリームイーターか……!」

思わず振り向いた。

「「「!?」」」

しかし、そこに居たのはドリームイーターでもなく、いつもの魔法少女の二人でもなく。

彼らのルームメイト海彩子音だった。

「なんで、皆女の子になったの……?」


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