その花は枯れを知らず14

三人で並んで寮へと向かう帰り道。

「そういえば……今、子音だけだよな部屋」

その言葉にゆうきと之彦はハッとして標を見つめる。

「確かに!大丈夫かな……彼、寂しがり屋そうだから……」

ゆうきは確かにそうだとうんうん、と頷いた。

「本当ですね。早く帰らないと」

その言葉に標がなにか思いついたのか二人の前に出る。

「じゃあ、寮まで競走な!」

そう言って標が走り出す。

「あ、待ってよ標くん」

之彦はすぐさま標を追いかけた。

そんな二人の姿にゆうきは瞳を細める。

「本当に、二人が生きてて良かったです…」

ゆうきは己の右手へと視線を落とす。

まだ、ドリームイーターを殴った時の感触が残っていた。もしかしたら、あの時負けてドリームイーターに殺されていたかもしれない。

そう思うとゾッとする。


嗚呼、もう二人に危ない思いはして欲しくない。

強く、ならなくては。

二人を、みんなを守れるようになる為に。


空に浮かぶ月を見上げる。

先程見つめていた手で拳を握れば心臓部に当てた。

そして強く決意すれば二人の元へと向う。

「待ってください!二人とも」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る