その花は枯れを知らず13
気がつくと図書館にいた。
図書館はやはりさほど時間が経っていないのか、夕日が窓から差し込んでいる。
夏の名残の暖かい風が窓から吹き込んでいた。
机の上に置かれた本は『優しい花は強く咲く』という題名だったらしく、一輪の花が表紙に描かれていた。
辺りを見渡せば、標と之彦が心地よさそうに眠っている。
魔法少女の姿からは元に戻っていた。
そんなふうに眠るふたりに瞳を細めて微笑む。
眠る二人へと手を伸ばせば頭を撫でた。
「ん……」
標が声をあげる。
起こしてしまっただろうか。すぐさまゆうきは手を引っ込めた。
くぁ、と欠伸をしつつ標と之彦が起き上がる。
「大丈夫でした?」
ゆうきが問いかければ之彦が頷く。
「ありがとう、ゆうきくんのお陰だよ」
ありがとう、と微笑めば標も嬉しそうにサンキュ、と言葉を紡ぎながら立ち上がる。
「生きてて良かったです」
安心しました、とゆうきが笑う。
標がゆうきの肩を組む。
之彦も同じようにゆうきと肩を組んだ。
「もちろんだ!俺たちは毎日生きて会うんだからな!」
死なないさとゆうきと之彦を見つめる。
「絶対死なせたりしないからね」
安心して?とゆうきと標に微笑みかける。
「僕も、僕も二人を守ります」
だから、僕の傍にいてください。そう、決意して標と之彦を強く抱き締めた。
窓から差し込んだ夕日は沈み始め、夜を迎えようとしていた。
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