序章 始まりの鐘の音がなる頃に
『おめでとうございます!今日からアナタも可愛いかわいい魔法少女です♡
さあ、アナタの願いは?』
放課後。窓から差し込む夕日は紅く、燃え上がっている。
窓から差し込むだいだい色の日は輝いていた。
手に握られているのは無機質な個体。
今では珍しいガラパゴス携帯が握られている。
その画面の中に映し出されたピンク調の可愛らしい文字。
その文字が紡ぐ言葉に、は?と思わず素っ頓狂な声が零れ落ちた。
願い、なんて…
思わず鼻であしらうように笑う。
そしてふざけ半分に、天からつるされた一本のクモの糸へと縋るように己の願いを打ち込んだ。
ザザッ
画面が波を立てる。
可愛らしかったピンク調の画面は、みるみると、まるで血のように真っ赤に染まった。
反射的に携帯を地面へと叩きつける。
カツン、と携帯が床とぶつかる音がした。
「願いをありがとう!今日から君も可愛いかわいい魔法少女だよ☆」
そんな言葉にびくり、と肩を跳ねさせる。
背後から画面に書かれていた言葉と同じ言葉が聞こえて来たからだ。
すぐさま後ろを振り向いた。
紅い瞳と目が合う。
「っ」
己の口から声にならない声が飛び出した。
「おめでとう、
キミも今日から魔法少女だよ☆」
どこからともなく吹き込む生暖かい風が優しく頬を撫でる。
これが僕の
魔法少女になってしまった僕らの
最高で
最悪の
ハッピーエンドだ
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