3歩後ろから

明日は久しぶりの休みだと言うのに、

うれしいはずが喜びという感情や気力や、

喜ぶ元気さえなく、彼は枯れていた。

そして日が完全に落ち、食わず飲まずの反動(急激な空腹)が彼を襲った。

その瞬間彼の頭には空腹を満たす事が付け加えられ、

一瞬で彼の脳内を占拠した。


何も見えない暗闇の中でも

彼は心から食べ物を欲し

鼻は近くの食べ物の匂いを嗅ぎ分け

目は常に一点を虚ろな目で見つめた。

足は重々しい足取りでも、

1歩また1歩と歩数を重ね 確実に前へと踏み出していた。

公園の近くまで来た時だった。

ーコンビニが見える距離だ。ー


振り返ればこのひと月、ほとんど休み無しだ。

少数精鋭での仕事に不満は、数え切れないほどあった。

けれど俺より先に同僚が、仲間三人を連れて辞め、しわ寄せが残ったものに被さったのだ。それでも、久しぶりに3日間のまとまった休みが取れた。


その時、白いスバルが、一時停止を無視してすごいスピードで、走ってきた。「危ないなあ。こんな狭い道を」と、誰にでもなく呟いてい時。

ドスンと、何かにぶつかった鈍い音がした。なんだ?白いスバルが去った時。キャンキャンと、悲鳴のよう

な声が響いた。


近づいて、見ると子犬だった。しかし、血は流してない。良かった。怪我は、なかったか。顔を、自分に向けて持ち上げて見る。あどけない顔が、可愛さを引き立てる。すると次の瞬間、後ろ両足がだらんとぶら下がっているのに、気がついた。(えっ)試しに地面に身体を立たせてみると前足だけで、体重を支えきれないのか体勢が崩れる。


今の、白いスバルがひき逃げ犯人か。(許せねぇ)とは言うものの、俺のアパートじゃ飼えない。その前に、コイツを病院に連れていく、費用だのなんだの・・・無理だよなあ。

せめてもの、気遣いというか。近くにあったダンボール箱に、子犬を入れて近くの公園のブランコ近くに、置いておく。(誰か気がついて、連れていってやってくれ)

「ごめんな。おまえを、飼えないんだ。」

くうん、くうんと手を舐めてくるが、やるせない思いでその場を離れる。

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