今のこの気持ち ほんとだよね

@areej

01

あしもと。しびれて、みること、たべて、すべること。わたしは、アフリカの青い草原のにおいも、まっしろな炎も音のしずむ街も知らないけれど、あなたといるときだけぜんぶ過去になる。チチチチ、ギイ、ヒリ、シーッ。言い訳、傘。傷。木々。細い光がはこんでくる音やことばや色と、それらが交差することで見えてくる箱はもしかしたら5,000年前のだれかのものかもしれないし、そうじゃなければわたしは多分かみさまに愛されている。風が吹いた。気まぐれに大きくなるその輪っかに包まれる、髪の毛が縦になびいたり瞳がつめたさを覚えて少しふるえる。からだがぜんぶ吸い込まれて、流されることのなかったなみだや愛されることのなかった詩が破裂して、鋭くつめたいうつくしい雨になる。わたしの指先はせかいの裏側までとどいた。赦されても、赦しというものですら時折り罰になるからもしかしたら傷つけられたことは救いだったのかもしれない。そういうことを思った。世界中の色という色が毎秒浮き出たり、沈んだり、沸騰したり突起したりする。そのたびに傾いて崩れるなにかを、傷つかれて消えてゆくものを、遠くから眺めてかなしくなったりする。足元に咲く花も木のてっぺんで咲く花も同等にうつくしい。しんでしまうことは悲しくないし、生きてゆくことはえらくない。しんでしまうことはうつくしくないし、いきてゆくことはまぶしい。でもわたしがあなたがうつくしくても、醜くても、しんでも、いきていてもずっとすきだよ

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