あかいろ

ちとせ そら

あかろもの

第1話 あおいろがいい!

私はド田舎に住む女子高校生をしている女子高校

生! どうやらここには電車というものがあるらしい

から、それに乗って今、学校に登校をしている最中だ。

「おっはよー!」

今日も大好きな大好きな幼なじみの隼人の背中にドロップキックを入れて、今日一日分の愛の表現バッチリ!

「痛ってーな! 殺す気か! お前はいつもこんなんして、俺は人間だぞ!」

人間……

「人間だったのー?!」

まさか、私はいままで隼人のことを宇宙人だと思っていたのに……。

「私は宇宙人と付き合いたい!」

「そんなお前が宇宙人だわ!」


〜あかいろ〜


「とうとう決着をつける時がきたようだな、隼人!」

「なにがだよ」

今は学校の授業が行われている最中らしいけど、青春感じたくて屋上に来ている最中!

「なんで隼人は授業受けないの?」

「そりゃ俺も知りたいわ! 起きたらここにいたから知るわけないだろ」

私はふと気づき自分のポケットに手を突っ込む。突っ込んだ。手をポケットの中でグルグルさせる。あ、あった。と、手が何かを発見する。

「多分これのせいだぁ」

テッテケテテテーテッテー 睡眠薬ぅ

「いやこれ人死ぬよ! え、おま、え?!」

「だってぇ、隼人の寝顔、み、た、かった、か、ら♡」

「こんなんどっから仕入れたんだよ! てかなんで俺生きてるんだよ!」

なんで生きてるって……

「私がキスしたからかなぁ?」

私は、可愛く見えるらしい笑い方をこの前調べたので、それっぽく笑ってみる。

「えへ、えへ、えへへへへへ……」

すると目の前で隼人が倒れるのが分かった。

そして隼人の寝顔が、私の目の前に現れた。

あーーーわあわあわあわあわかわあああああいいぃぃぃぃ!!!

「なんで隼人、そんなに寝顔が可愛いの! あ、寒そうだから布団かけるね」

私は気の利く奥さんを演じるかのように、見事な動きで隼人に布団をかける。

「いや心配する所だろぉぉぉぉぉぉ!!!」

あ、起きた。

「おはよう隼人、もうちょっと寝顔みたかったけど、まぁいいわ、動いてる隼人もいいからね。えへ」

「えへ、じゃねーわ。俺今さっき三途の川の向こうにいたおじいちゃんと手振りあってたばっかだぞ!」

「おじいちゃんと手を振ってたの? 私も混ぜてよ!」

「ならその睡眠薬飲めやァァァ!」

「いっただっきまぁぁぁす!!!」

私は三途の川の向こうにいるおじいちゃんを見つけ、手を振ってみた。

「おじいちゃーーーん!」

おじいちゃんは優しい顔をして、こっちにおいでと言うように手を振り返してくれた。

「おじいちゃーーーん!」

私もそろそろあっちの世界に行く頃合いかな、家出る前カップ麺にお湯入れてそのままなの忘れてたな、そろそろ食べ頃かな。

「カップ麺だべたぁぉぁぁい!!」

私は三途の川を背泳ぎで泳ぎ、向こう岸まで着くと、急いでおじいちゃんとハイタッチした。

「なんか楽しいよ! おじいちゃん!」

いままで楽しかったよ、隼人。最後にもう一度、寝顔見たかったな……。


〜あかいろ〜


「させねーよ!!」

「ナンデェェ!!」

ふと気づくと、私は学校の屋上にいた。あれ、おじいちゃんは?

「私のおじいちゃんは?」

「お前のおじいちゃんじゃねーよ、あれは俺のおじいちゃんだ」

「そうなのか、楽しかったなぁ、背泳ぎ」

「お前をこの世界に呼び戻すのに、いくら天国に課金したことか、恩は返してもらうよ」

「はーい。ねぇ隼人」

「なんだよ」

「カップ麺、食べたい」

「家帰ってろ」

こんな日でも、空はあおいろだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る