第134話 海夜猫はかわいい

「いや、大したものではないが――まあこの前海夜と買い物行った時に見つけた猫耳セット持って来てみた」

「————にゃあ!?」


俺がそう言いながらこの前購入した物。まああれである。海夜に気が付かれないようにと買った物。買い物の時にで海夜を待っている時にたまたま。たまたま見つけてしまいこれは良い。と、購入した物を袋から出すと――早速猫になってくれた海夜だった。うんうん。サービスがいいじゃないか。いい反応。と俺は思いつつ。


「どうだ?これ絶対海夜似合うと思ってさ。色もちょうど黒があって――いや、なんか値札?のところには白と黒と――茶色?だったかが書いてあったんだが。もう黒しかなくてな。でも海夜なら黒髪だし。黒だろうってことで、この前もまあなかなかよかったし。だから――まあこういう時だからな。かわいがるためにと――持ってきてみたが……ってなんか海夜震えてる?」


そんなことを俺は言いながら、袋から出した猫耳セットを開封し。まずは猫耳を海夜の前に差し出してみると――。


「——どうだ?じゃなくてですね!?」


俺の話を聞きながら何故かプルプル震えていた海夜。いや――そんなに喜んでくれているのか――と5%くらいは思っていたが。まあやっぱりお怒り?の方の確立が高かったらしい。

いやまあ猫耳見せて、かわいい!と海夜がなるとは思ってなかったよ?まあお怒りがあって――渋々してくれるとか言う予想だったのだが――まあ予想以上に海夜の何かに触れたのか。俺が返事をする前に……。


「あのですね!何買ってるんですか!先輩お母さんとレベル変わらないじゃないですか!むしろ近くなったら!?やっぱり先輩は変態でした!ってか。どこに持っていたんですか!?ってお出かけにホント何でそんな、物持って来てるんですか!」


いろいろ言われた俺だったが――まあでも海夜の表情を読み取れないということは多分ないので――うん。うん。多分今の海夜は大丈夫。と俺は確認後。


「えっ。普通に荷物少なかったし。カバンの中にずっと入っていたぞ?」

「この先輩――馬鹿だ。お出かけになんて物を……単なる変態――実はコスプレ?あれ?猫とかもコスプレになる?うーん」

「なんかいろいろ呟いているが。海夜の母とは違うと思うぞ?」

「——どこがですか」


――おっとなんか視線が怖いですね――と俺は思いつつ。


「いやいや、今回は猫じゃらし付きだからちょっと違う。あと鈴付き首輪もあるからな」


俺はそう言いながらセットに入っていた一つ。うん、何で人用の物に猫じゃらし?棒の先端に毛。というものが付いているのだろうかとは思ったが――もしかして猫耳を付けて本物の猫と遊ぶため?たしかに猫に近づけば猫も近寄ってくるかもだから、その際に猫じゃらしもあったら完璧か。と思いつつとりあえず海夜の顔の前で猫じゃらしを振ってみると――。


「一緒ですよ!って、邪魔です!何するんですか!私がこんなおもちゃで反応するとでも!?しゃあ!にゃあぁ!」


そう言いながら海夜は多分邪魔。という感じで手で払いのけようとしていたが――うん。その仕草かわいいぞ。猫パンチいいぞ。だった。うんうん。じゃれてるじゃれてる。と、俺が思いつつちょっと猫じゃらしを海夜の前で降り続けていると――。


「先輩!怒りますよ!?にゃあ!にゃあ!」


再度海夜がそう言ってきたが――この子……自覚あるのかわからないが――楽しんでいる様子だった。猫パンチしまくりだし。かわいいところあるんだよな。うんうん。いや、普段からかわいいけどさ。こういうのちゃんと相手。なりきってくれるんだよ。と俺は思いつつ。


「遊んでるじゃん。っか……海夜。猫語出てるぞ?」

「邪魔って言ってるんですよ!——もうホントに――先輩の方がテンション上がっておかしなことになってます。変態さんが……って猫語?」

「語尾がにゃあになってる」

「な。なんてませんよ。何を適当なことを言って――この変態が」

「まあまあとりあえず猫耳——装着してくれないか?かわいいからさ」


俺がそう言いながら海夜の前に猫耳を差し出すと――。


「……うー。ま、まあ……あっー、でもここで先輩の指示に従うと負けたような……でもちょっと――うー。も、もう!ほんとにもう……先輩がおかしくなりました。にゃぁ……」


海夜。やっぱり猫語しゃべってるよだった。


「文句を言いつつすぐになりきってくれる海夜の優しさだな」

「——ホントに……少しだけですよ?」


そう言いながら海夜は恥ずかしそうにしつつも俺の方を向いて――ちょっとかがんできたのだった。ってなるほどこれは装着を許してくれた。付けろってことらしいので。


「えっとこっちが――前か?うん。そうだな」


俺は猫耳を再度確認して――えっと……カチューシャ?で、いいのか。まあカチューシャと、思われる猫耳を――海夜に装着した。うん。黒い耳にしたが。ってかそれしかなかったのだが――やっぱりめっちゃ似合っていた。うん。俺いい判断した。だったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る