第6話 トラブル

 翌日。


 俺は課題を提出するためにいつもより早い電車で大学に向かっていた。

 提出物は受付開始というのか。提出可能になったら初日に持っていく派のでね。まあ担当の先生の教室のポストに入れるだけだから。1本早い電車に乗れば、朝に提出ができるので、提出物があるといつもこの流れとなっている。

 別に帰りに提出でもいいんだがね。なんか早く出したいというか。とっとと提出してしまいたいので、いつもこの朝提出となっている。


 そして現在は大学の最寄り駅を降りて敷地内を1人で歩いているのだが。あれはなんだ?


「ヤバー」

「でしょー」

「ヤバイヤバイ」

「ヤバイわー」

「めっちゃヤバー」

「でしょー」

「ヤバイヤバイヤバイ」


 前を歩く数人高校生の女の子集団の――まあ賑やかなこと。めっちゃうるさいというか。朝から元気過ぎな集団。

 最近は海夜を見ているからか前を歩く生徒。高校生の集団は見た目もかなり派手な気がする。校則ギリギリくらいなのだろうか。まあここの高校の校則とかは知らないが。個人的にアウトな気もする。スカート丈とか絶対先生に指導はいるだろう。って単にパッと見ての感想だからな?凝視しているわけではないので間違えないように。

っかうるさい。にしても、ヤバイしか聞こえてこない気もするが。って、ヤバイだけで会話ってできるのだろうか?

 まあとりあえず朝から元気でうるさい集団が居る。

 ホント何回ヤバイ言うんだよ。前の高校生集団。


 普通なら抜いていけばいいのだが。前を行く賑やかな集団は、横に広く広がって歩いているから抜きにくいし。歩くのがゆっくりとか言うわけではなく。普通なので。わざわざ抜くために早歩きというのもなのでね。仕方なく俺は少し後ろを歩いている。


 高校生の登校時間は大学生より少し早いみたいだから。早い時間に大学へ行くと高校生の波に飲まれるは仕方ない事。

 1年の時にも何度かあった事だからな。俺がそんなことを思って歩いていると。


「……あれ?あれは――海夜かな?」


 少し先の方になんか見覚えのある後ろ姿があった『あの後ろ姿……』と俺が思っていると。


「ヤバヤバ」

「やばいよー」

「あっ、あれあれ」

「おっ、ヤバイヤバイ」

「ヤバイじゃん」


 ヤバイヤバイしか言ってない女子集団がちょっと小走りになった。まあ離れてくれるのは嬉しい――のだが……。


 ちょっと前を行く影を見ていたら。


 その集団は相変わらずのヤバイヤバイやら言いながら小走りでふざけて歩いている。というか小走り。そしてその前を歩いていた生徒を1人が抜く際にカバンが当たる。


 ドン。


 いや、あれはわざとカバンを当てに行った。

 横を抜いて行くときにわざと大きくカバンをまわして……当てた。


「—―きゃっ!」


 前で小さな声がする。

 いきなり後ろからカバンが当たったのでその生徒はバランス崩し地面に手をついた。その際にその生徒の持っていた手提げカバンから物が少しこぼれた。


 うるさい集団はもちろんというのか。何も言わず。むしろ大笑いしながらそのまま小走りで高校の方へ去っていった『なんだあの集団……』と俺は思いつつ。少し前にいるカバンを当てられた生徒のところへ行く。


 近付くとわかったが。カバンを当てられた生徒はやはり――海夜だった。


 海夜はちょっとぶつかってきた相手を見ていたが。

 海夜は文句を言うとかはなく。そのまま何も言わず。っか何もなかったように手提げカバンからこぼれた物を1人で拾っていた。


 周りを歩いていた人たちは気にしてないのか。関わりたくないのか。みんな適度な距離をあけて歩いていた。


 俺はちょっと小走りで海夜のところに駆け寄る。


 そしてこぼれていた物を拾い。海夜の方に差し出す。


「……大丈夫か?海夜」

「ひやぁ――!?えっ?」


 ……すみません。いや、マジですみません。急に後ろから声かけたのは悪かった。

が、海夜よ。驚きすぎだろ。今の海夜の声でさらに周りから変な目線が来たぞ。ほぼ俺にめっちゃ視線感じるんだが。


 じゃなくても制服を着ている女子高生に私服の男子大学生が駆け寄ったみたいな。あまりなさそうな事で注目されそうなのに、ってかなり注目されてる?視線めっちゃ感じるんだが――。


「—―えっ?せ、先輩?」


 とか思っていると、やっと海夜が俺を認識したらしい。


「……そうだ。ほら、怪我ないか」

「あっ、はい……すみません」


 まわりが気にならないは嘘だが誰も関わりはしてこない。

 まあ俺がぼっちオーラ全開だからかもだが――とか思いながら海夜に手を貸す。


「……じゃ。気を付けろよ」

「あ――あの。ありがとうございます」

「いや……まあ、あれはその気にするなよ」

「へっ?—―—―あ、はい。大丈夫ですよ」


 さっきの海夜の態度からなんとなく。いつものこと。という風に感じ取れたが。俺が関わるのもなので、ちょっと声をかけただけの俺。

 まあいろいろと取れる言い方だが。俺はそんなことを言いその場を後にした。いや一緒に行ってもすぐそこで海夜とは別れることになるし。変に俺が一緒だとね。変な視線があって海夜に嫌な思いをさせてもなんでね。


 なのでその後海夜が俺の言葉にどのような反応。表情をしたかとかは知らない。


 それが朝のこと。そしてその日の夕方。


 ★


 今日の俺は講義終了後に次のレポート課題をするための参考文献探しをするため図書館に寄ってからの帰り道だった。 

 いつもより遅めの帰りなので電車は人とズレたから多分空いてるだろうとか思いつつ歩いていたら――。


 それは駅の手前でだった。


「なあなあ海山道。金かしてー」

「今からみんなで遊びに行くんだー」

「いいっしょ?」

「……」

「ボンボンなんでしよ?」

「少しくらいいいっしょ?ねえ海山道ー」

「……」


 あれは――今日の朝。海夜にわざとぶつけた女子の集団だろう。はっきりとはわからないが。なんか、うるさい声は似ている気がする。

 っかヤバイヤバイ以外も話せたんだな。ヤバイヤバイ集団よ。


 そんな集団に大学高校から駅までの道のりの途中。まあほぼ駅前だったが。そこで海夜が捕まっていた。海夜は完全無視をしているようで、一応前にに歩いているのだが。ヤバイヤバイ集団?は海夜の前に入ったり。と見てるだけでうざい行動をしていた。


 そんな横をなにもないかのように通過していく人は、なんでだろうか。とまた思ってしまう。いや俺も海夜を知らなかったら避けてるか。ごめん。心の中で謝っておく。俺も通過してる人の悪口を言ったが仲間でした。ごめん。


 っか。あれが普通だよな。あんなややこしそうなのに関わりたくないわな。


すると――。


「——邪魔です。あなたたちに貸すものは何もありません。何度言ったらわかるのですか」


 海夜がキレたのか。ピシッとした声が聞こえてきた。さすがに近くを歩ていた人が振り返ったりしていたが。振り返ったりした人は少し歩くスピードを速くして駅の方へと進んで行った。


 ――が。数人の女子生徒は全く諦めることなくまだ海夜に付きまとっている。もしかしたらあいつら言葉が通じないのではないだろうか?


 仕方ない。見てしまったし。同じアパートの知り合い。ご近所さんに声かけるか。と、まあちょっと勇気がいるんだが。

 前の海夜達の集団は進むスピードが遅いので、俺がそんなことを考えている間にすぐに追いついていた。どのように声をかけるべきかと考える暇もなく追いついてしまったので。


「あれ――?……海夜?今帰りか?」


偶然を装い声をかけた。すると海夜が返事をするではなく。その周りにいた奴らが先に反応した。


「—―あっ?」

「誰」

「何おっさん?」


 ……こいつらマジでうざいな。っかほんと態度悪いわ。って、俺一応まだ大学生なんだが。あっ、見た目おっさんなのか俺——と軽くショック。

 するとワンテンポ置いてから俺が一番反応してほしかった人が反応した。


「……先輩」

「海夜。こんなところで何してるんだ?」

「あ……いや……それは……」


 海夜はあまり見られたくはなかった様子だが。うざい周りはまだうるさかった。ほんと元気すぎるだろこの集団。授業で疲れたとかないのかよ。放課後なのに。俺ならとっとと帰って休みたいとか思っているよ。


「おじさん。今めっちゃ大切な話し中」

「そうそう」

「だから誰か知らないけど邪魔」


 何が大切なんだと思いつつ。


「……大切ね。遊ぶ金貸してが。か」

「なっ」

「知ってるし……なんなのこのおじさん」

「ちっ」


 なんか舌打ちされたりごちゃごちゃ言われたり。って、今の高校生怖いわ。めっちゃぶつぶつなんか今も言ってるし。とか思いながら俺は海夜に声をかけた。


「海夜。帰るぞ」

「えっ――?先輩?」

「—―ほら」


 俺は海夜に声をかけると駅の方へと歩き出す。

 ――かっこよく。ではなく。このあと何を言えばいいか。全く出てこなくなったから。撤収である。撤収。情けないが。追われたらどうしようとかを今考えている最中だったりする。


 海夜は俺が歩き出したのを見て。ハッとしたのか。ちょっと小走りで俺の横にピッタリと付いて来た。ちょっと距離が近すぎる気がしたが。俺は何も言わなかった。

 そして俺はこの後どうなるか。とか思ったが。後ろの方でなんか愚痴が聞こえてきたくらいで、さすがにヤバイヤバイ集団は追ってはこなかった。

 よかった。よかった。ホントなんも策なかったからな。怖い怖い。今の高校生マジで怖いっすわ。


 それから俺たちは並んで歩いて駅に着いてからも2人は無言のまま電車を待ち。そして無言のまま駅に入ってきた電車に2人で乗った。

 電車はロングシートだったので、その真ん中あたりに2人で座った。そこでやっと俺が声をかけれた。


「で……大丈夫か?」

「あっ、はい。すみません。面倒なことに巻き混んで」

「あれ――うざいな。ヤバイヤバイ集団」

「や、ヤバイヤバイ集団?なんですか?それ」

「あー、勝手につけた」


 俺が言うとすこし海夜の口元が緩んだ。


「なるほど。確かにヤバイしか言ってませんね。あの人たち」

「だろ。にしてもうざいな。あれは」

「……慣れました」

「—―いつもなのか?」

「……いえ……多分——あの人たちがイライラ?したら、私にあたりにきます。あとは遊びに行くお金が欲しくなったら」

「なかなかな奴らだな」

「……大丈夫です。無視してれば」

「お強いことで」

「それに学校内では嫌がらせはありませんから。前に財布の中身とか抜かれたことはありますが。あのときは私が現場を見てないので犯人もわかりませんし。あと、最近は無駄な物は高校に持っていきませんからなにもないですし。荷物は常に持って行動してますから」

「さいか……っか、学校に言わないのか?」

「言っても結局——面倒ですから」


 海夜からは完全に諦めの声が聞こえた。


「まあだよな。学校は……何もできない。ってかしないからな――」


 ちなみに俺も海夜の意見に賛成というか。多分自分が海夜の立場なら同じことをつぶやいただろうな。と思っていた。

 あれは、たまにテレビでこういう。なんていうのか、いじめと言うのか。そのような特集いうのかをニュースとかで見るが。


 俺からするに――だが。相談なんて簡単じゃないし。紙に書かせて聞き取りやらを見たことあるが。書けない人もいるだろうし。面談があっても言いたくても言えない人だっている。そもそも面倒だから言わない人。それぞれだろう。

 それに全ての先生がちゃんと対処してくれるとも限らない。それに先生は先生で、授業やらだけでも、めっちゃ忙しそうにしてるのに、さらに1人1人の人間関係の相談やらまであったら――先生がパンクするだろう。

 とにかく難しいか。学校への相談は。と海夜に言いながら俺は思っていた。


 あとちょっと俺が心配だったのは、俺が少しだがこの件に関わったことで、これがエスカレートしないかなんだが。

 誰かこういう事の対処のプロいないのかよ。海夜と話しつつもちょっと関わってよかったのか?って、今かなり俺心配なんだが――。


 ちなみに、この時は何かのちに起こることもなく。その日はそのまま帰宅したのだった。

 それから数日間はかかわってしまったので、海夜を一応は気にはしていたが、海夜とは生活の時間が違うからか。やはりなかなか会わないし見かけなかった。


 さすがに気になるからとかでどこかで待ち伏せもできないし。それをすると、俺が捕まるわ。

 なので、たまに会えば挨拶やらで少し話したが。本人も『大丈夫ですよ。ありがとうございます』と毎回言っていたので大丈夫か。と俺は思っていたのだが。少し落ち着いた頃。忘れたころにというのか――。


 あのなんかヤバイヤバイ集団と接触?から少ししての事。


 ★


「—―?海夜?」


 それは大学からの帰りだった。

 駅に行く途中の道。ちょうど高校側から伸びてくる道と交わるところあたりに海夜らしき人が立っていた。


 俺は。なんか嫌な予感がしつつ『何してるんだ?』とか思いつつ歩いていると海夜と目があった。


「…………あっ。先輩まだ居た。よかったー」


 俺を見るなりなんかとても安心した表情になる海夜。


「……えっ?どうしたんだ……?」


 俺がつぶやいていると。海夜は小走りで俺の元へと寄ってきた。何事?と、俺はその場に立ち止まる。


「えっと……もしかして、待ってた?」

「……はい」


 俺が聞くと、海夜は小さく頷いた。


「どうした?なんかあったか?」

「……すみません」

「へっ?」


 いきなり海夜に謝られた。

 そして何事かと思い聞いていると。


「—―その……あの……言いにくいのですが。お金を……貸してください」

「……はい?」


 いきなり後輩の女の子に金貸せ言われました。どういうこと?なかなか頭の整理が追い付かない。


「……えっと……はい?」

「あっ……その……電車代を貸していただけると――助かります」

「うん?」


 俺が馬鹿なのだろう。状況がまだわからないので、ちゃんと整理してみることにした。


「えっとだ。海夜。なにがあった?」

「実は……」


 海夜はそう言いながら自分のカバンに手を突っ込んで、中から鉄道のICカードを出す。多分定期だわな。電車通学なら持っているだろう。と思ったのだが。なんか……おかしい。2枚ある?いや、これは――。


「何故に定期券が半分か」

「その……」


 なぜか真っ二つのICカード見せてきてから海夜は帰り際のことを話しだした。


 そしてやっとわかった。つまり。

 またあの集団に絡まれながら教室を出たのだが。無視していたからか。1人がカバンの横に付けてた定期を奪い。面白半分にか踏みつけたら。まさかのパッキーン。以上である。


 そうそう、その集団はさすがに割ったのはやばいと思ったのか。そそくさに消えたと。そして残された海夜は困ったことがあった。


「今日は財布を忘れてまして……」

「—―取られてないな?」


 一応確認する俺。


「はい。今日はホントにたまたま家に小銭入れ。財布を忘れてしまいまして」


 ちょっと恥ずかしそうな仕草をしながら海夜が答えた。どうやら忘れたのは本当らしい。


「まあそれならいいが。電車賃は貸すから」

「助かります。先輩居てくれたよかったです」

「っか……まず高校に話さないか?」

「—―えっ?」

「さすがにいろいろあるからさ。まあ言っても……だが」

「いえ……大丈夫ですよ」


 海夜の表情が、意味がない。面倒。といったものになる。


「いや……うーん」

「大丈夫です。先輩」


 海夜が強くいうので高校への連絡は見送ることになった。これ以上騒ぎを大きくしたくないのか。そもそも言いにくいか。とかいろいろ思ったが本人がそう言うので俺はそれ以上何も言わなかった。


 それから駅に向かって2人で歩き出す。駅に着いたら俺が券売機で切符買って海夜に渡す。

 そういえば普段は俺も定期券だからこうして券売機で切符を買うのが久しぶりだった。ちょっと出かける時は基本ICカードだし。チャージで券売機は使うくらいなので一瞬切符の買い方を迷いかけたが。大丈夫。海夜にはバレてないはずだ。切符買うのに迷っているってな。これはちょっとバレると俺が恥ずかしいわ。


「ありがとうございます」


 切符を渡すと良い笑顔の海夜だった。マジで――いい笑顔だった。


 それからはもちろんだが2人で電車に乗った。ロングシートの空いていたところに2人で座る。

 そしてしばらく電車に揺られるので海夜に気になっていたことを聞いてみた。


「っかさ。海夜。俺がもし居なかったらどうするつもりだったんだ?」

「……それは……もう少し待って先輩が通らないようなら一応駅まで来て駅員さんに相談をと定期の期限は読めますから。でも本人確認とかを言われたらちょっと困りましたが。学生所とかも財布の中だったので。まあ最悪は……歩くつもりでした」

「……なるほど。って、歩くのは無理だろ。いや無理ではないが大変過ぎるだろ」

「でも、方法が……ですから」

「そういう時こそ学校に相談だろ」

「確かに……」


 などと海夜と車内では話していた。


 そういえばICカードの定期券は割れた場合はどうなるのだろうか。作り直し?それがわからなかったので『手数料とかかかるかもしれないので、まず財布を取ってきます』と海夜が車内で話している時に言ったので。2人で電車を降りた後はとりあえず家まで帰ることになった。


 駅に着いてからもまた一緒に帰る。同じところだからな。別々に帰る方がおかしいか。なんか普段1人ばかりだから誰かと話しながらずっと帰って来るというのは変な感じもしたがな。


 そして家に着くと。


「助かりました。あとで駅行ってきます」

「大丈夫か?遅いけど……よかったら、一緒に行くけど」


 海夜が駅にまた行くと言っていたし。ちなみに暗くなっている。でも明日朝とかでは大変だからこの後に駅に行くのだろう。と、俺は思いつつ。一応関わった人間なので付いて行くことを提案してみた。

 ってか、言ってから別に駅まではそんなに遠くはないから大丈夫か。とも思ったのだが。海夜はちょっとびっくり?みたいな表情をしてから。


「駅行くだけですから。でも……一緒に来てくれたらちょっと嬉しいです。あっ、でも着替えたいので少しだけ待ってもらってもいいですか?」

「ああ。問題ない」

「急いで着替えてきます」


 しばらくして私服に着替えた海夜が出てくるとまた2人で駅に向かう。ちなみに、私服の海夜って、結構今のところレアかもしれない。 

 今の海夜は落ち着いた感じの私服。大袈裟かもだが、いいところのお嬢様みたいだった。そういえば、あのヤバイヤバイ集団?だったか。あいつらの誰かが……なんかボンボンとか言っていたような?ってまあ別にいいか。


 海夜の付き添いとして俺は付いて行き……駅に到着してからは窓口からちょっと離れたところで待機した。

 そしてしばらくして海夜が戻ってきた。


「おまたせしました。手続き終わりました。ありがとうございます。翌日以降に受け取れるみたいなので明日学校に行くときに貰っていきます」

「やっぱその日とかは難しいのか。まあじゃ帰るか」

「はい。すみません。お待たせして」

「いや大丈夫だ」


 再度2人で駅から家まで帰るのだが。せっかくというかまた駅まで来たので、俺は駅前のコンビニを見つつ。海夜に声をかけた。


「海夜。ちょっとコンビニ寄っていっていいか?せっかくまた出てきたからなんか食べ物買うかと思っているんだが。海夜は先に帰るか?」

「あっ、私も寄っていきます」

「了解。じゃ行くか」

「はい」


 そして、2人でコンビニに寄り道をしてから帰った。


 それからしばらくは海夜に会うたびに現状確認というのか。あの集団のことを聞いていたが。とくにあれからは全く絡んでこないと海夜は言っていた。


 定期券を壊したはかなりきいているのだろうか?まあ何もないのは良いことかな。

海夜が嘘を言っている感じもなかったしな。話している時基本笑顔だったし。大丈夫だろうと思っている俺だった。

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