養われたい部と養いたい部

大海あかさ

第1話 不登校生活に幕引きを!part1

「この欄の養われたいってどういう意味だい? 」


 一年生の三分の一を欠席したもののなんとか進級を果たした俺、神宮寺拓夢は、進路希望の件で担任の𠮷原静香に呼び出されてしまっていた。不登校明け&新年度初日に呼び出しとかだっるううう、重い足取り+遠回りの努力も虚しく塵も積もればで職員室に到着して今に至る。


「どういう意味ってそのままの意味ですよ、僕は誰かに寄生して生きていきたいんです」


本当はこんな考えを持ち合わせていないので、くず発言のテンプレで返しとこくらいのノリでぶっきらぼうに返答しておいた。


「いくら多種多様な生き方が認められてきているとはいえ、担任としてはこの進路希望を快く受理することはできないな」


「まあそうでしょうね、ただ進路希望を変える気はないですよ。不満に思うなら是非僕が最低のくず人間だと吹聴してまわって下さい! 僕は気にしませんから、いえむしろ歓迎だってしますよ!!!!!!! 」


「拓夢、君はまさかドМなのかい? そうでないなら自分を卑下するのはやめたほうがいい。君は自分で思っているより相当スペックの高い人間なんだからさ、こうみえても私は君を買っているんだよ? 」


そうか、周りからみたら俺は自分を卑下しているように見えるのか……。てか、自分を卑下?そんなわけ無いだろ、俺は自分の能力を誰よりも認め、誰よりも評価しているんだから。

百人にアンケート取ったら百人がカッコイイという程の万人受けする顔、未経験者だけで行えばどんな競技でも表彰台に上がれるほどの運動神経の良さ、定期テストでは不動の1位、それに加えて豊富な知識量により生み出される唯一無二のコミュ力!!


え? なんだって?? そんな奴がなんで不登校&保健室登校だったかって?その話は追々させてくれ、てか俺は誰に向けて話しているんだ……。


そんな自分語りを静香先生との会話の間に反芻していたが、そろそろ投げかけられたボールを返さないとただの無視になちゃうな。なんて返そうか、出来れば早く会話を終わらせたいところだが……。


「おーい、拓夢聞いてたかー~? 無視は感心できないねえ。まさか私に買って貰っていることが嬉しかったでのかい!?」


出た!! 誰もが経験したであろうあるあるだ!

お母さんとかがちょうど勉強しようと思ったタイミングで勉強しなさいって言ってくるあれだよ……。

意外と心折られるんだよなぁ。


「まあ先生みたいな美人な方に褒められて嬉しくない男なんてそういないと思いますよ。まあ俺のタイプではなi……」


「そうかそうか、私は美人か! 君も見る目があるじゃないか。高校を卒業したらけっko、いやなんでもない。今日のところは帰っていいぞ。人生は一度きりだからな、進路についてはよく考えてくるように! 」


おい、最後まで聞いてくれよ。てかちょろすぎるだろ! 確かに世間一般からみたら美人ではあるのだろうが、俺が先生を美人だと思っているなんて一言も言っていないんだけど。

どんなことでもポジティブに捉えられるのが静香先生の長所なんだろうな……。

そんなことを考えながら帰路に着くことにした。





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