算数嫌いが算数にハマった
ヒロシマン
第1話 学校では掛け算を教えていない
学校では掛け算を教えていない。
掛け算の九九は計算を早くする方法で、掛け算そのものではない。
掛け算を教わっていないから、「- × -」 がなぜ+になるのか全然分からない。ただ、そういう決まりだとしか教えていない。
掛け算が分かれば、知識の幅が広がる。
その前に「-」は0より小さい数というだけではない。
「-」には二つの意味がある。
一つの意味は、0以上の数「+」は自分が所有している数で、「-」以下の数「-」は自分以外が所有している数ということ。
自分の物は「+」。他人の物は「-」。他人の物を一時的に所有しても「-」。
もう一つの意味は、「-」は移動するということ。
自分の所有「+」を「-」で掛け算した場合、自分以外の所有「-」に移動し、自分以外の所有「-」を「-」で掛け算した場合、自分の所有「+」に移動する。
そこで「- × -」 がなぜ+になるのか?
ある男が倉庫の管理を任された。
倉庫には箱詰めのリンゴがたくさん積んである。
リンゴの総数を数えなければいけないが、一つ一つ箱を開けて数えていたのでは時間がかかる。
よく見ると箱はすべて5個入りで、63箱あった。
そこで掛け算を使って計算することにした。
5個入り × 63箱 = 315個が倉庫にある
リンゴの総数は315個だと分かった。
このことから掛け算は、箱に入っている数が同じ場合、その箱の数が分かれば、総数が計算できる。
例えば、違う商品でも値段が同じなら、すべての個数を調べて掛け算すれば、その総額が分かる。
店から連絡があり、7箱を店へ届けることになった。
この時、倉庫が「+」で店が「-」と考えれば、
5個入り × (-7箱)= -35個が倉庫から減る(店に行く)
倉庫から35個、移動して減ることになる。
店にあるリンゴは、
(-5個入りの箱) × 7箱 = -35個が倉庫にない(店にある)
という表現もできる。
今度は店から3箱、倉庫へ返品されてきた。
店にある箱(何個入りか?) × 店にある箱の数 = 倉庫へ返品される数
(-5個入りの箱) × (-3箱) = +15個が倉庫に増える
倉庫のリンゴは15個、増えることになる。
このことから左辺の+-はどこにあるかを表し、右辺の+-は移動するかどうかを表している。
(店:- 倉庫:+) × (移動する:- 移動しない:+)
(-5個入りの箱) × 7箱 = -35個は、
(店の5個入りの箱) × (店から移動しない7箱) = (店に35個)ということを表し、
(-5個入りの箱) × (-3箱) = +15個は、
(店の5個入りの箱) × (店から移動する3箱) = (倉庫に15個)ということになる。
だから、「- × -」は+になる。
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