81~90 『~するとき/時』『~のこと/事』『~のもの/物』『~するところ/所』などは、ひらがなと漢字のどちらの表現を用いますか? その理由も教えてください。

81. 推敲はどの段階で、どの程度行いますか?

▼書きながら伏線の確認がてら推敲していきます。数週間以上書けない期間が長いときは推敲にかける時間と考えてまったりと読み返すことが多いので、頻度的にもかなり多いと思います。


82. 文章作法はどのくらい気にしていますか?

▼原則として基本の作法に則っていますが、『天の光はすべて文字』のように作品固有のコンセプトがあって書いているものはかなりの割合無視して書いていることも多いです。段落ごとに空行を挟むのは作文規則的にはNGだと思いますが、これも作風によって違ってきます。段落ごとの文章が短いライトノベル風の文章の場合は、ひとつの短文ごとに段落を変えるとかえって読みづらくなること(=リーダビリティ)を考慮して空行を挟みますが、段落ごとの文章がしっかりと数行以上まとまって書かれているものは空行しなかったりするので、これも作風しだいといえます。ただ今後書くもので短文を意識したライトノベル風の作品はほぼないと思うので、ライトノベル風を意識する意味で空行を挟むことはめったになくなると思います。


83. 地の文において、見やすさを優先するため、視点や立場の変更・新しい考え方や事柄への転換などがなくても、改行することはありますか? ある場合、どのくらいの長さ(文章量)で改行しますか?

▼前質問を参照のこと。


84. 上記と同様に、見やすさを優先するため、単なる改行だけでなく、段落間を1行空けることはありますか? ある場合、どのくらいの長さ(文章量)で1行空けますか?

▼おそらく読みやすさ以外の意図で空行を空けることはほぼありません。例えば「行間」や「雰囲気」を表現するためにあえて空行を入れる作品は商業作品でも多いかと思うのですが、自分の場合は一般的な作文規則を主軸として小説に応用しているに過ぎません。他作品の引用部(詩など)を強調する等の表現(ここは斜体の有無など文書作成ソフト/アプリの機能的限界にも関係しますが)になるのならばその限りではありませんが、基本的にリーダビリティ以外の空行の意図はないと捉えていただくといいのかなと思います。


85. 『~するとき/時』『~のこと/事』『~のもの/物』『~するところ/所』などは、ひらがなと漢字のどちらの表現を用いますか? その理由も教えてください。それ以外にも、あえてひらがな(または漢字)で表記する単語等はあれば教えてください。

▼昔は閉じていましたが最近はなるべく開く傾向があります。質問で挙げられた4つのほかに「無い=ない」「特に=とくに」「他に=ほかに」「言う=いう」といった漢字にしなくても意味が通じる場合や、「方=かた・がた・ほう」、「開く=あく・ひらく」といった、送りがながなかったり複数の読み方があったりするぱっと見ややこしい漢字に関しては、全てその通りではありませんが、感覚的な法則の上で扱うようになってきました。例えば「言う=いう」や「無い=ない」といったものを挙げても、厳密には「言う・云う=いう」「(物が)無い・(事が)ない=ない」といったようにそれぞれ別のニュアンスを持った言葉や意味を把握し考慮した上で開くようにしているのですが、突きつめるとこれもまた作風しだいといえる部分ではあります。一人称視点で主人公がごく平均的な小学生なのに知りもしない難しい漢字や語彙を使って心中を述懐するのは違和感しかないでしょう。ただ、いつでも漢字を閉じたり開いたりできる能力、すなわち漢字を覚えることは悪いことではないと思います。漢字辞典に限らずさまざまな外国語辞書を眺めていると、ひとつしかないと思っている物事にもいろいろな見方やニュアンスの違いがあって面白いです。そして、それを知った上で「この漢字は閉じても/開いても不都合ではないな」と判断しています。漢字辞典がない方はインターネット上の辞書サイトでも大丈夫だと思います。


86. 語彙や表現はどのように増やしていますか?

▼小説に限らずさまざまな本を読むことはもちろんのこと、やはり確実なものは辞書や辞典だと思います。これらがなければわからない言葉があった場合に定義にはたどり着いてもニュアンスにはたどりつけません。ただ、慣用句辞典にも載っていないような作者・作品独自の感性に拠った表現に関しては、やはり文脈を理解し読み取る必要があると思います。だからこその「小説に限らずさまざまな本を読む」ということだと思います。あるいは辞書的な定義と作者の表現をしゃりしゃりと擦り合わせたきめの細やかさに人は感銘を受けるのかもしれません。


87. 自分の作品の中で、同じような言葉や言い回しが何度か登場する…と感じることはありますか? ある場合、何か対処していますか?

▼翻訳文学の影響で「それというのも」という接続文はよく用います。対処はしませんが語彙はもっと豊かにしたいです。


88. 自分の文章に、誤った意味で使用しているに言葉がないか、同訓異字の使用誤りがないか、どのくらい気にしていますか? 辞書やwebにより調べていますか? おすすめの辞書やサイトがあれば教えてください。

▼何度も読み返して間違いや誤りは最小限にとどめる努力はしていますが、それでも勘違いを勘違いのまま書いていることは多々あると思います。基本的に使い慣れていない言葉を使用する場合は辞書を使って例文やニュアンスまで含めて調べてから採用するのですが、完璧な正解にはたどり着けていないという気はいつもしています。


89. 他者の作品やテレビのテロップ、その他何かしらの文章を目にした際、自分の書き方とは違う、という点で気になる表現はありますか?(自分では漢字を使うところをひらがなで表記している、英数字の半角・全角、『』や””の使い方…など)

▼文章や書き方の違いでとくに気になることはありませんが、たまにテレビのテロップなどに誤字脱字を発見するとなんだか嬉しくなります。最近はYouTubeの動画をよく見ていますが、字幕テロップを貼っている投稿主さんはやはり誤字脱字が多いと思います。小説なども同じで、個人で間違いを全て見つけて正すというのは実はそうとう難しいことなんだというのはよくよく省みるようにしています。その意味では個人制作物の誤字脱字に関してことさらその間違いや誤りを指摘し修正を促すようなことはしません。


90. 文章のレイアウトについて、1行の長さはどのくらいに設定していますか(どのくらいが見やすいと思いますか)? webや活字など、表現媒体により異なる場合は、それぞれについて教えてください。

▼基本的にはやはり一般的な文庫本の縦組1行42字程度が読み慣れている文字数なのでそのように設定しています。ただスマホなどの媒体で横組で読むことを考えると1行の長さは小さめの文字で30字程度が最も読みやすいと思います。小説の組版に関しては「1ページ/一画面内の文字数がだいたい800字~1200字」という範囲内であるのが縦組横組問わず日本語として最も見やすく読みやすいと感じています。この点は完全に人それぞれだと思うので、あまり意識しなくてもいい部分かもしれません。また、京極夏彦さんのように一文がページをまたがないように、といった独自の禁則事項を打ち立てるのも読む側としては助けられることが多いと思いますが、書く側としてはかなり七面倒な気がするので自分はそこまでしないと思います。

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