改題:スライムと俺と3000年後の未来

モモん

プロローグ

それはクリスマスの奇跡


機械化王国のゴミ捨て場に一匹のスライムが発生した。

唯一にして無二のスキルは吸収。

そのスライムは空腹だった。

手当たり次第に周りのものを吸収した。

最初に吸収したのは、直径15cmほどのタイヤが3本。

スライムの下面にタイヤが生えてくる。


移動手段を入手したスライムは更に無限軌道キャタピラーを吸収した。

これで、多少の段差があっても乗り越えられる。

次いで、フレキシブルのパイプ、鍋、錆びた剣、電子ジャー、歯車、時計、消火器、自転車、グローブ、オートバイ。

やっと、空腹がおさまった。




「なんだお前…見かけない…ガラクタだな。

『鑑定!』

およよ、スライムかよ」


「ピキー」


「俺の名前はジャギー。いつか魔王を倒す勇者になるんだ。

お前も一緒に来るか?」


「ピキー」


「よし、お前の名前はスラリンだ。

いつか、一緒に魔王を倒そうぜ」


「ピキー」




その少年はゴーグルをし、野球帽を逆にかぶった見るからに浮浪児だった。

腰にはスパナをぶら下げて、工具袋を背負っている。

半袖のシャツもズボンも油まみれで破けている。

スライムにとっては初めて声をかけてくれた人間で、鳥の刷り込みに近い状態だったのだろう。


「エアーバイクの太陽光電池を探してるんだけど、これが見つからねえんだ」


「ピキ?」


「10cmくらいの丸いやつで、バイクの燃料になるんだよ。

バイクって、こうハンドルがついてて、上にまたがって乗れるんだ。

どっかにねえかな」


スラリンは、さっき吸収したバイクを思い出した。

表面に浮かび上がらせる。


「ピキ!」


「おお、すっげえ。

新品のバイクじゃんか。

これ、太陽光電池外してもいいか?」


「ピキッ」


少年は器用にスパナを操り、太陽光電池を取り外す。


「新品のバイクよりも、やっぱ自分で苦労して作ったバイクに乗りてえじゃんか」


「ピキー」


「よし、早速工場で取り付けるぞ」


少年のいう工場というのは、3m四方の扉が壊れた物置だった。


カチャカチャ


ブルル


「よし、動いたぞ。

スラリン、後ろに乗れよ、冒険に出発するぞ!」


「ピキー」

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