unchained love
春嵐
α
街を歩く。
彼女に逢いたいと、思いながら。
彼女の名前も、何をしているかも、分からないし知らない。立場上、仕事仲間に訊けばすぐ分かる。でも、知りたくなかった。
知らないままのほうがいい。いつ消えてなくなるか分からない人生。過度な期待はしないし、何かに執着することもない。吹けば飛ぶような、軽い人生。それが自分。
それでも。彼女に、逢いたい。
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