魔法少女がエグイ目にあう、ラノベ世界のモブだった!? 外伝

流石ユユシタ

第1話 私と私

 あの日、彼は全てを選ぶ選択をした。それは途方もない選択で簡単な選択ではない、難しくて、尋常ではない選択。私は、私達は彼に一生ついて行くつもりだ。


 例え未来の自分たちを彼が嫁にしたいと言っても……ギリ、許す。彼が心の底から私たちを愛すると言う事は分かってるし、その愛が霞んだり弱くなったりすることはない事くらい知っている。疑いようがないのだ。


 だが……


「あ、あの、当たってます……」

「ふふふ、当ててるんですよ?」



 未来の私が彼を独占すると言う事態は非常に面白くない。ソファで私の彼氏を独占しているのは銀堂コハク。私とは違い髪の長さは肩くらいまで銀髪の碧眼。三十路のくせに肌が若々しい。その癖に色気だけは一貯前に出ている。未来の私であり、iカップというふしだらな物を彼に当てる頭のおかしい女。


 三十路のくせに……


 私は面白くないので反対側に座る。そのまま彼の腕に絡みついて目をいつもより見開いて声のトーンを上げて甘ったるい声を出す。



「もう、私のこと忘れないでくださいよ」

「わ、忘れてませんよ」

「未来の私ばっかりカマッテ……胸がそんなにいいんですか?」

「いや、その……そうなんですけど……コハクさんのことを忘れた訳じゃないです。その、えっと……」



 アタフタする彼が可愛い。そして、自分に照れてくれて愛を伝えようとする彼が愛おしくてたまらない。


 だけど、未来の私は面白くないようだ。三十路のくせに頬を膨らませて、私に嫉妬の視線を向ける。彼が今現在は私の方を向いて彼女には背を向けている。だから彼女は彼の脇の下から手を回して顔を彼の耳元に、そして豊潤な化け物突起を彼のせなかにこれでもかと押し付けた。


 ビクッと彼の体が跳ねる。背中の感触と耳奥に届く彼女の息に彼の全部が彼女に一瞬で持っていかれる。そのまま誘惑するように彼女は囁く。


「私なんかより、ぴちぴちの過去の私の方が好みですか?」

「ああああ、そそそそそそのの……」

「ふふ、耳弱いの知ってますよ? 貴方の弱い所も強い所も、敏感な所もの可愛い所も全部しってます……」

「あ、あんまりからかわないで貰ってい、いいですか?」

「すいません……あまりに可愛いから……

「ッ!!!!」



再び彼の体がびくりと跳ねる。彼女は狩猟的な目で彼を見る。その姿に私はまるで自信を見ている気分になった。


そんなの当たり前だ。だって、彼女は未来の私なんだから。だけど、本当に今現在の私をそのまんま見ている気分なのだ。


三十路、なのに大人なのに子供の様だった。まるで時間がずっと止まっていたかのような……彼女の雰囲気。外見は大人だけど中身は子供のまま。


その時に分かった。彼女は十六夜君の生きてない時間を生きていたが、彼女の時は彼が死んでからずっと止まったままなんだと。


すんなり分かった。きっと自分もそうなるだろうから。そして、彼に出会ってようやく時間が動き出している。


きっと、妹のクロコもそうなんだろう。ずっと悲しみの中で時間が止まったまま。だから、別世界から来た彼が選んでくれたことが嬉しくて自分のものにしたくてたまらない……愛を深めたくてたまらない。


危険だ……この人は……いや、彼女達は……


十六夜君が、私の彼氏が……ドロドロに溶かされて喰われるかもしれない…‥


そう思いたったら行動せずにはいられなかった。彼女から無理やり引き離して彼の顔を胸に埋めさせる。そのまま私は彼女を睨んだ。この人は私のもので貴方には渡さないと明確に意思表示をした



「んんっ!!」


彼が話せないくらいに埋める。ちょっと苦しいかもしれなけど我慢してもらおう


「この人は、私の大事な人です……あまり、からかわないでください……おばさん」

「カッチーン……まだ、おばさんじゃないですよ……」

「おばさんですよ、この三十路」

「……おばさんじゃないです」

「おばさんです」

「若いです!! まだ、全然若いです!」

「全然、若くないです!」



自分と自分が言いあっている。どこか複雑な感情にもなってしまうがそれは置いておく。


「……はぁ、過去の私におばさんと言われるのは変な気分ですね……同じ私なんですから仲良くできませんか?」

「そんな自分が無害と言って、油断をさせて私が居ないところで抜け駆けするつもりなのはお見通しです」

「はぁ、私は仲良くしたいのに変な疑いをかける……さらに、些か貴方の話は論理に欠けていますね。全く……何を根拠に」

「私ならそうするからです」

「……論破されてしまいました」

「やっぱり……いいですか? 夜にベッドに入り込むとか絶対にやめてください……あと誘惑も禁止です!」

「……はーい」



そっぽを向いて手で髪先をくるくるしながら彼女は気の抜けた返事をする。絶対に私にとの約束を破るなコイツ……私だからこそ彼女の動きが分かる。



恐らく精神年齢もかなり近い。外見は正直言うと……私の理想ともいえるほどいい感じがする。スタイルもいいし、顔は大人な感じで私より……色気がある……認めたくないけど……



そして、きっと彼女は十六夜君を私より知っている。だから、きっと彼女は全部を使って十六夜君を獲りに来る……


不安だ……このまま放置なんてしておけない。よく、本当の敵は自分とか言うけどその通りだ。


彼女から、自分から目が離せない……


「そろそろ、十六夜君を離してあげたらどうですか?」

「あ! ご、ごめんなさい!」

「いえ、寧ろご褒美です」



息がしにくかっただろうに彼は親指を立ててぐっとマーク。最近の彼は色々吹っ切れたと言うか開き直ったと言うか以前より覚悟が極まっている感じがする。そんな十六夜君も勿論素敵なのだがそう思ってるのは私だけじゃない。


火蓮先輩、アオイ先輩、萌黄先輩、クロコ。特に妹のクロコが結構、ベッドに入ったり誘惑したりするから妨害をしたりしていたのにここに来て未来の私達……戦争だ……これは愛の戦争……


彼も変にオープンな所があるからそこを誰かに付け込まれたりするかもしれない。


私はハーレムを認めてはいるが一番でありたいことを放棄したわけじゃない。彼の初めてとか一番とか、目指し続ける。抜け駆けだってしたい。


ライバルであり仲間が四人から九人に増えた……ああ、もう考えることがいっぱい!!!!!!



落ち着け、取りあえず未来の私をマークしよう。



◆◆



まぁ、大体、過去の私が考えていることは分かる。だからと言って私が手を抜いたりすることはない。



何度願ったか分からない彼との再会。彼との幸せの時間を私達は願った。だけど、彼は帰らないといけないから私達は諦める選択を選んだ。


そして、彼が迷ったり少しでも彼の心残りがないように背中を押した。彼ならきっと気にしてしまう、優しいから悩んでしまう。それを少しでも軽減したかった。



ここに残って欲しいと私も言いたかった……



だけど、彼には幸せになって欲しかった。ここより元の世界の方が幸せになると思った。


だから、言わなかった。


でも、私のそんな気持ちなんて彼は分かっていた。彼は帰る足を止めた。


そして、私達に来いと言った。私達も幸せにしたいと、未来の私達も愛してしまったと。だから、自分と来いと言った。







 その答えがどれほど、私が、私達が嬉しかったか。それだけは私達は知らないだろう。分からないだろう。



十四年、私達がどれだけ焦がれたか、愛おしかったかそんなの絶対に分からない。



彼がもう一度来て選んでくれた。それでどれほど愛が溢れたか彼女達は知らない。



我慢なんて出来るはずがない……溜まりに溜まったこの想いが止められるはずがない。


正直、過去の私達には申し訳ないと思っている。いきなり三十路を超えたおば……お姉さんが五人も彼の恋人として現れて彼との時間も減ってしまう。それが辛いのは分かる。本当に申し訳ない。


でも……彼が私達も幸せになって欲しいと言うんだから仕方ないですよね?


「十六夜君はもっと女性に免疫を付けましょう。ノーと言える男になりましょう!」

「が、頑張ります」

「私を是非練習台として使ってください」



目のまえで過去の私が彼と話している。彼女は私の想いに気づいて妨害してくるつもりだ。


本当にごめんなさい。私……。


私は欲張りなんです。貴方もそれはよく知っていますよね? 




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


すいません。プロットとか全く無いです。完全なノリと勢いです。感想とかに流される可能性大です。欲しいシチュエーション言っていただいたら描くかもしれません……



あと、不定期更新です……









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る