昼から

 俺達は図書館を出た後、街の南側へとやって来ていた。


 ここ街の南側は様々な食事処かお店を出している。


 この一週間毎日のようにここで食事をしている俺達はいつものように同じ店へと足を踏み入れる。


 ガラガラ!


「いらっしゃい!」


 扉を開けて中に入ると、いつものように亭主のおじさんの声が聞こえてくる。


 俺達がテーブル席に四人で座ると、


「いつもの四つ」


 毎日注文しているメニューを頼む。


 おじさんも俺達の顔を覚えており、


「はいよ」


 注文を受けてくれる。


 俺達は、お昼時より少し早く来たこともありお店の中にお客さんは一人か二人くらいしかいない。


 いつものように後一時間くらい遅く来るとすでに中は満席で並で待つしかない。


「お待ちどうさん」


 亭主は俺達は注文した料理を机の上に並べていく。


 俺達は注文したのは、『カレー』である。


 ここはカレー料理を専門扱っているお店で、様々な種類のカレーがある。


 その中でも一番おいしいのは今日も注文したボアカレーである。


 この街の近くの森にはイノシシ型の魔物が多く生息しており、その肉はとてもおいしく人気がある。


 そのイノシシの肉はかなり多く使われているのがこのカレーなのである。


 最初このメニューを注文した時はただの興味本位であった。だが食べてみると無茶苦茶美味しくすっかりはまってしまったのだ。


 フィート達も同じく、ハマりこの一週間毎日通っていた。


「今日は早いね!」


「はい! 今日は休暇にしたのでゆっくりとくることが出来ました」


「そうなんだね。お仕事の方は順調かい?」


「おかげさまで、昨日Dランクへ昇格することが出来ました」


「それは凄いね。冒険者になって最初に躓くポイントだって言われてるからね」


 確かにと心の中で頷いてしまった。


「そうなんですね。自分達の目的に為に頑張っていたら自然とですね」


「そうかい。だが大変なのはこれからだから頑張りな」


「はい! ありがとうございます」


 おじさんは厨房へと戻っていった。


 カレーを食べながら、


「優輝は何を調べていたの?」


 フィートが聞いてくる。


「俺はこの世界の歴史について少しな」


「何か有益にな情報はあったのですか」


「ああ、歴史自体に何かがあったわけではないが、少し興味深い物を見つけたよ」


 俺は、あそこで見つけた物のことを三人に話した。


 この世界にある六つの国は何度か滅んでいる事。


 その滅びにある塔がかかわっている事であった。


 その塔は、今戦争を行っている互角全てに存在している事である。


「ではこの戦争の目的は」


「皆の想像通りだと思う」


 そうこの世界でいま行われている戦争の目的それはそれぞれの国にある塔を全て得るためである。


 そのために戦争を行いその勝者が相手側の領土を奪っているわけだ。


「でもそうだとすると、この世界に人達はその塔を全て手に入れて何がしたいのかな?」


 俺の疑問もそこに行きついた。


 読んでいた本に書いてあったのはこの世界が過去に何回か国が全て滅んでいる事、塔がそのことにかかわっている事ぐらいであった。


 それともう一つ気にる物を見つけていたがそれはまだ話せない。俺自身もその一文を読んだだけで本当にそんな物が存在すると思えないからである。


「強大な力」


 レナからふとした言葉が出た。


「よくある話。何かをすべてそろえると何らかの力を手に入れることが出来る」


 物語などによくある話か。


「私もレナの意見が的を射ていると思います」


「私もレナの言う通りだと思う」


 俺自身もしっかりきた。


 ここは異世界、物語の世界にあるような話があっても不思議ではない。


「それが一番近い答えだろうな」


「でも何がしたいんだろうね」


「どうせ、この世界を全て自分の物にするとかそんな感じの事だろう」


「そうですね。どんな世界であろうと王と呼ばれる人達が考えることは同じです」


 フィートの顔が怖い。


「まあまあ、そのことは置いておいてだ。まず俺達の目標は塔の攻略だ!」


「「そうですね。それが私達が元の世界へと戻るための手掛かりがあるでしょうし。それに早く戻ってあの計画を実行に移さないとですから」


「やる」


「私は優輝についていくだけだよ」


 手掛かりを見つけるための目的が全員の中で統一された。


 そんなとき、


「緊急事態! 緊急事態! 勇者諸君急ぎ王城へと集まれ!」


 俺達を呼ぶ放送。


 突然に何が起こったのか。


 ごはん中だった俺はどうしようかとお互いの顔を見ていた。


 すると、足元が急に光だし、この世界へと召喚されたときと同じ現象が起こった。


 そして俺達は王城の玉座の間へと集められたのである。

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