冒険者ギルド会議
俺達は街へと戻るとそのまま冒険者ギルドへと向かった。
すでにお昼を回っていることもありギルド内に殆ど他の冒険者達はいない。
俺達は、テイルさんより他のパーティーが戻ってくるようにと言われてギルド内にある酒場で待っていた。
それから一時間程して他のパーティーもギルドへと戻ってくる。
「皆様、お疲れさまでした」
全員が戻ってきたことを確認すると、俺達の適性検査を行った受付のお姉さんのが前に立っていた。
「これで、皆様の冒険者としての第一の修行が終了となります。これより、今後の皆さまの予定についてのお話がございますのでギルドマスター室へお越しください、それとDランクの皆さまはここへと残ってください」
受付のお姉さんの話が終わると同時に、皆行動へ動いた。
「音無くん、また後でね」
俺達とすれ違った村西はその一言だけ言って他の皆と一緒にギルドマスターの部屋へと移動する。
移動するメンバーの中には俺の方を見てにらんでいる者達もちらほらといたが気にしないでおこう。
それから暫くして受付のお姉さんが俺達の方へとやってきた。
「どうもお疲れさまでした」
俺達の前に立ち一礼する。
「指導を行っていた冒険者の方達よりあなた方今回の依頼に関しての方向は受けております。その結果……無事冒険者としての適性が認められましたのでこちらを進呈させていただきます」
俺達四人に一枚のカードがそれぞれに配られた。
目に気を集中させてカードを見てみると、魔法陣が埋め込まれている。
「こちらのカードは会員カードとなり、あなた方の情報が入っておりますのでなくさないでください。それとこちらもお渡しさせていただきます」
俺達が受け取ったの袋の中には少しの硬貨が入っていた。
「こちらは一週間分の生活費になりますので慎重にお使いください。それとあなた方の冒険者ランクはEランクとなりますが、皆さんこちらからスタートとなり、冒険者としての活動に問題ないと判断されれば一週間ほどでDランクへの昇格も認められるでしょう。それと、これより勇者様方へのこれからのことについてのお話がギルドマスターよりございますがどういたしますか?」
俺達は、お互いに顔を見合わせた。
「結構です。それでは」
それだけ言って冒険者ギルドを後にした。
音無達や他のクラスメイト達が冒険者ギルドでた後、冒険者ギルド二階にある会議室でギルドマスターや指導役をしていた冒険者など合わせて十名ほどの者達が集まっていた。
そこでは、昨日より行われた音無達召喚された勇者達のことについての話し合いが行われていた。
「これで全員そろったようだな」
大きな机を囲むように座るメンバー。
その中央に座っているのはギルドマスターであった。
「本日の議題じゃが、冒険者となった勇者達を一か月後までにまともに戦闘を行えるよう育てるようにと王よりお達しがあった」
そのことに対して暗い顔になる冒険者の面々。
国同士で行われている戦争は冒険者にとっては正直なところ関りに会いになりたくないと考えている者が殆どであった。
だが、ギルド自体は国に属しているため、王から命令には従わないわけにはいかない。
そのために皆暗い顔になる。
「今回、王よりある程度報酬も支払われると聞いている。協力をお願いしたい。この通りだ」
ギルドマスターが頭を下げた。
「そこまでされなくても」
最初に声を出したのはテイルだった。
「マスターがそこまでされなくてもいいですよ。それに俺自身育ててみたい子もいますし」
「私も、すごく気になる子が二人」
テイルに続き、アキナも声を上げた。
この二人は音無達はこの育成に参加していないことをまだ知らない。
「ありがとう。他の者達はどうだ!」
「あの二人が参加するなら俺達もな」
「そうね。それに召喚された勇者っていうのがどんな子達かも気になるしね」
もともとテイルとアキナはこの町でも優秀な冒険者で、他の者達からの信頼もかなりえていた。
そのため、この二人「が良いというと大抵の場合、他の者達も二つ返事で受けてくれる。
「本当か! ありがとう! 本当にありがとう!」
ギルドマスターはもし全員に断られたらどうしようかということしか考えてなかった。
だが、皆快く受けてくれた。自分達に利が殆どないにも関わらずだ。凄くありがたい。
「それぞれに誰を任せるかはこちらで決めて明日発表する。それから、テイル達から報告が上がっている件についての話に入る。テイル頼む」
席より立ち、
「昨日より俺は今回召喚された勇者達の戦闘経験訓練ということで迷宮探索へと出向いていた。その時だ、植物迷宮の地下三階に現れるはずのない上位種のモンスターバラテンが出現した」
「!!」
ギルドマスター以外の他の者達がかなり驚いていた。
「だが今までにそんな報告聞いたことがないぞ」
「そうね、あそこの迷宮は三階層まで通常のモンスターしか出ないために下位の冒険者が戦闘訓練をするための場所として使われているのよ」
「もしそれが本当なら今後下位冒険者にあそこでの戦闘訓練をさせることが出来なくなるな」
他の冒険者達が凄く心配そうな声を上げている。
それに、
「私のほうでも上位種のストーンタイガーが地下二階層で現れたわ」
「そっちでもか、一体何が起こっているんだ。とりあえずこの件については冒険者ギルドから調査チームを派遣することにするが、、よく皆を無事に連れて戻ってこれたな」
ギルドマスターのびっくりしたような声。
「はい、俺自身も少しの犠牲を覚悟していましたが、連れてきていた勇者の二人に助けられました」
「私も同じくです」
テイルにアキナの言葉にギルドマスターは疑いの目を向けていた。
「どういうことだ。あ奴らはまだ戦闘経験もないただの初心者じゃ。その者達ふが上位種モンスターを倒せるわけなかろう」
だが二人はギルドマスターの言葉を否定した。
「いえ、彼は別格です。正直俺でも勝てるかどうか」
テイルがそこまで言うほどの者はいるはずがないと考えている。
「私も彼女ら二人に勝てないと思います」
アキナまでも同じくことを言っている。
「テイル達が勝てないってどんな奴らだよ」
「ただ力が強いだけでしょ! 技術合わせれば勝てるに決まってるでしょ」
その言葉を聞いた二人はその言葉を受け入れられなかった。
「テイルその者達は誰だ」
王からはもしかしたら有望な奴がいるかもしれないのでもし見つけたら報告するようにと指示を受けていた。
「最後に合流してきた四人の内の二人です」
「私も同じです」
どう反応したらいいか分からないギルドマスター。
最後にあのメンバーに合流した四人は王から落ちこぼれのDランクと聞いていた。
そして、その四人に関してどうなってもいいと言われていた。
だが、勇者の中で一番有能なのがその四人。
一体どうすればいいのか分からなくなってしまったギルドマスターであった。
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