迷宮探索 9

 モンスターを倒して後、そこには魔力結晶とモンスターの一部が落ちていた。


 それを回収し、皆の元へと戻ると驚きに満ちた顔のメンバーとテイルさん。


 それとは反対にいつも通りみたいな顔で出迎えているレナ。


 今回の戦闘で、魔法の使用とスキルの使用について試すことができた。


 ただ。それ以外の事、四属性以外の魔法に気を使った身体の能力の強化、固有スキル以外で気を使ったスキルについて今回は試すことが出来なかった。


 フィート達の方である程度試せているかと考えていた。








 数時間前、優輝達が植物の迷宮へと侵入していた頃、フィート達も同じく迷宮へと侵入していた。


 迷宮へと侵入の際、フィートは昨夜の優輝との会話を思い返していた。


 この迷宮探索でソロでの戦闘。


 そんなことを許してもらえるとは思えない。


 だが、私の中でもどれくらい元の世界と同じように戦えるのかを試しておきたい気持ちもある。リナにその話をしたら、


「フィートに任せるよ! 私達の副リーダーだし、いつも優輝の考えよく理解してるし」


 と、完全に人任せ。


 私の苦労も知らないで!


 そんなことを考えながら迷宮の一階層を進んでいると、


「モンスターが現れたわよ! まずは第一班から始めるわよ」


 指導役として付いてきていた冒険者のアキナさんより指示が飛んできた。


 私とリナの班は第二班。


 まず最初は他の者達の戦闘を見ることになる。


「他の皆はよく見ててね! 次モンスターが現れたときには他の班に戦ってもらうからね」


「はい!」


 私達は、よく見えるように横一列になる。


「フィートさん、リナさんこちらへどうぞ」


 男子達が言ってくる。


 昨日に三グループに別れてからずっとこんな感じであった。


 何かあると私やリナに話しかけようとしてくる。


 一回や二回ならまだいい。ただそれが何回も続くと、うざくなってくる。


 ただ、優輝のクラスメイト達で無下な扱いうぃできないこともあり私も、たぶんリナも同じ気持ちであると思いたい。


「ありがとうございます」


 私は一礼して開けてくれた場所へと移動する。


「それじゃ、そろそろ始めましょうか! 相手は地属性のモンスターよ、どんな技が効果的かよく考えて」


 モンスターと向き合っている四人は少し考える。


 ポジションは前衛に剣士、中衛に状況の判断の出来そな魔術師、後衛に魔術師一人と付与師が一人という配置であった。


 この迷宮は岩の洞窟。出てくるモンスターも土属性のものばかり。なら魔術師で水属性の魔法を使える者がいればその者を中心とした戦略を立てればいい。


 そうでなければ、付与師の魔法で前衛に剣士の能力を上げて中衛にいる者が指示を出しながら、後衛の魔導士がモンスターを牽制しながら前衛の者で攻める。


 この二つの戦略が考えられる。この世界と元の世界では魔法の考え方が違う。元の世界では気を魔力へと変換。その後、使いたい属性の魔力へと変換することで魔法を放つことが出来る。


 だが、こちらの世界では自分が持つスキル、その中にある属性魔法しか使えないと考えられている。


 そのため、指導役の冒険者であるアキナさんもスキルや魔法についてそのように説明していた。


「リナ、あの四人のステータス見ることできますか?」


「やってみる」


 リナは私達四人の中で唯一他人のステータスを見ることが出来る。それがこちらの世界でもできるのかここで試してみることにした。


「水系統の魔法を使える者はいますか?」


「居ないみたいだよ。でも後衛の付与師さんは攻撃能力を上げる魔法を持ってるみたいだからそれを使えば勝てるよ」


 問題なく使えるみたいでまず一安心。元の世界でもこのスキルに救われた場面も多くあった。


 それに優輝の持つスキルも使えるか使えないかによって今後の戦い方が変わってくる。


 お互いに最低限確かめておかないといけないことが何点かあることに気づいた。


 それから暫くして一班の戦闘が終了した。


 何回かアキナさんの指示の元的確に魔法を使いモンスターとの戦闘に勝利していた。


 初めての戦闘にしてはあまり時間と体力を使わずに勝てたのは十分だと言える。


「よくやったね! うんうん私の教えた通りよくできたね! 偉いよ」


 四人の頭を撫でながらほめていた。


 先頭を行っていた四人も凄くうれしくそうな顔をしていた。


「よし、次は第二班の番だよ! 頑張ってみようか」


 私達の番がやってきた。


 私達の班は、私が前衛で剣士、リナが盾役、残り二人の内男子は攻撃系の魔術師、女子の方は攻撃と支援両方の魔法を使える魔術師であった。


 戦法としてはリナが後衛である二人を守り、後衛の二人の魔法で倒す。


 この四人でパーティーを決めるとき、だれをリーダーにするかの話合いの際、二人ともに私かリナでいいのではないか言う意見が出た。


 リナは、グループ内でリーダーをしているので私でいいと言ったために私に決まったのである。


 私はそこで一つ提案を投げたのが、今回の戦法であった。


 私やリナがメインの攻撃役にならずにモンスターを倒す。もし火力が足らな変えれば私かリナがこっそりと支援魔法で補助すればいいだけのこと。


 そんな感じに戦法も決めて私達はこの迷宮探索に挑んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る