逆説と真説のデスパーティ

にこら

第0話 Day XXX

-あれから何百日経っただろうか。もう随分と外の世界を見ていない気がする。歩くことさえ疲れた。そんな彼の前にとある時計の形をした異形頭のスーツ姿の男性が現れる。彼とはもう何百回と会っている。


「さて、問題です」


異形頭の男が問いかけてくる。もう聞き飽きたフレーズだ。何百回も問いかけられば誰だってそうなる。


「ワタシは一体ダレでしょう?」


何一つ変わらない、いつも通りの質問。

彼はいつも通り答えることができず、目の前が真っ暗になった。


薄れゆく意識の中で異形頭の男性の話し声が聞こえる。


「残念。時間切れ、ゲームオーバーだ」


もう嫌だ。早く、早く、はやく...


俺を殺してくれ。


第0話 『Day XXX』 完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る