羨ましい

呆然としているエリザを連れて、ホテルへ戻りました。ホテルの部屋にて───


「あんなに威圧感ある存在なのに、力が弱まっているのって本当かしら?」


「本当にねぇー!」


シオンとエリザがあの護り神の龍を思い出していた。そして、カストルと父カウスは貰った『水龍刀』を見ていた。


「むぅ、これは良い刀だ」

「なんて綺麗な刀身なんだ」


二人はいつまでも水龍刀を見詰めていた。

あの無口な父まで唸るほどの【名刀】──いや、【神剣】に目が輝いていた。


「エリザは良いな。こんな神剣を貰えるなんて、羨ましいよ」


「カストル、欲しいなら差し上げるぞ?正直、私には手に余る品物だ」


一瞬、目が輝いたが、カストルは首を振った。


「いや、正直使ってみたいが、それは古龍と契約しているローズガーデンの血筋しか扱えないようになっている。それはエリザが使うといい」


「え、そうなの?私には勿体ないんだけど…………」

「なら、その神剣を扱えるように精進するんだな」


羨ましさからカストルは少しキツイ口調で言った。

──が、エリザは励ましの言葉ととらえ、拳握ってやってやる!!!と叫ぶのだった。


こうして、この避暑地で二泊三日してからローズガーデンの王城に戻るのでした。


しかし予想外な事が起きたのです。




「なんと!大滝には守護龍様が住んでいると信じられていたが、まさか我が娘が神剣を与えられるとは!?」


自分の娘が伝説の神剣を与えられた事に、思った以上に大騒ぎになったのだ。

それから王城では丸3日間ほど、お祭り騒ぎが続きました。


「それで、すまないが、そろそろ旅たちたいのだが…………」


しばらく王城に拘束されていため、お父様も次の国へと行きたいと意見した。

神剣を王城に置いていって欲しいと王様はお願いしたが、この旅行の間は持って行いき、戻る時の置いていくという事でしぶしぶ頷いた。



そして───



「いやー、予想外の事もあったけどローズガーデン、なかなか楽しい時間を過ごせたね」


「そうですね。前回と違って最高にリフレッシュできました♪」


シオンとカストルが笑顔で答えました。


「はぁ~やっと解放された~~」


美しい神剣は、好事家の皆がうっとりするほど見惚れてしまい、ギリギリまで見させて欲しいと騎士達も大勢集まっていた。


「さて、エリザも来たことだし、次の行き先、獣人の国へ行くか」


「この1年でどれだけ復興したからしらね」



1年前、ダンジョンコアの暴走で国が滅びかけたジャガー王国。


あれからどれくらい復旧したのか視察も兼ねて行ってみましょう!






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