周辺国の情報
王城の一室に通されると、なんと国王様が待っていました。
「グリーンウッド家の皆、久し振りだね。王太子となったジークがなかなか挨拶に迎えず申し訳ない」
「いえいえ、国王様!お気になさらずに」
グリーンウッド家唯一の常識人間であるシオンが慌てて頭を下げた。
「まぁ、あれから転移魔法で何回も遊びにきているだろうけどな」
カストルお兄様がニヤリッと笑いながら言いました。
「遊びにじゃなく公務でな!」
まったく、こういうのを悪友と言うのでしょうか?
「はははっ!年を取るとこういう悪友が大切になってくる。ジーク、大切にしなさい」
父親である国王に言われてジークは恥ずかしくて顔を背けた。
「さて、皆さん席に着いて欲しい。話は聞いているが、また旅行に行かれるそうだね」
私達が席に着くと国王様が話しました。
「はい、前回の旅先をまた巡り、今度は聖リーゼ王国や帝国まで足を伸ばそうと思っています」
「うむ、帝国の装飾品に興味がある」
!?
無口なお父様が話しましたよ!?
「あなた♪」
はい!お母様も赤くならないの!
「なるほど。現在はどの国も情勢は落ち着いている。よほどの事がない限り、トラブルに巻き込まれる事はないだろう。ただ帝国へ行くのであれば気を付けてくれ。1年前の戦争で恨みを買っているだろうからな」
「はい。帝国には最後に廻る予定ですので。気を付けます」
「うむ、それと帝国やリーゼ王国にはグリーンウッド家と同等の力を持つ傑物たちもいる。十分に気を付けるのだぞ?」
ピクリッ
国王様の言葉にお兄様が反応しました。
「発言失礼します。どのような人物達か伺っても?」
国王様はしまったと言う顔を一瞬しました。
「カストル、お前も各国の情勢を勉強しろ!私から答えよう。まずリーゼ王国にいる【教皇】様だな。リーゼ王国は宗教国家だ。国のトップが教主であり、司祭達が国を仕切っている。教皇様はいつもお顔を隠しているので素顔はわからないが、強力な魔術師なのは確認が取れている。特に聖女と言っても差し支えない回復魔法のエキスパートでもある。それ以外にも攻撃魔法にも精通しており、先の帝国との戦争の様に、1人で万の軍勢を退けた実績もある」
ふむふむ。
お母様みたいな人物ですね。
「続けて帝国は人材が豊富だ。まず現皇帝は60近くになるが、元Sランク冒険者の資格を持っており、剣聖と名高い剣術の達人。さらに帝国3大英雄と呼ばれる人物達がいる」
「あれ?先の戦争ではいませんでしたよね?」
「ああ、あくまでも帝国に留めておきたい為に、防衛の時しか力を貸さないようだ。帝国に行けば嫌でも名前を聞くだろう。最後に、北の都市国家だが、あそこは少し特殊でな?正規の軍隊は少ない代わりに、傭兵と冒険者が多いんだ。その中に有名な奴が何人かいる」
なるほどね~
でも、私達の目的は旅行ですから関係ないよね~
……………関係ないよね???
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