排卵日のゆめ

千住

まどろみのなまえ ver12/25まで

生姜湯のゆげのむこうにうちのかべ

愛よりも愛に似かよえこたつ布団

音無しのテレビにうつる寒昴

天狼の見えない窓に手を添える

朝起きるだけでつかれた夜の雑煮

ねこ丸しみかんをのせて鏡餅

白鳥に梅おにぎりをうばわれる

雪うさぎ目はみどりでもかまわぬか

葉牡丹が食べられるかをかんがえる

まどろみに名前をつけて霜ばしら

すいかずら頭のもやは晴れぬまま

花の露やさしくなれる排卵日

檸檬忌にだれもころさずいきること

花曇り月を探してから帰る

花篝かおを知らない句の師匠

霞む目の奥も霞ます菜花道

眠る間によいこととして桜散る

ぬばたまとよべない髪にからむ蝶

水ぬるむおたまじゃくしの尾にふれる

けだるさに垂らすミルクと梅雨曇り

桜桃忌わたしは水に浮かないか

ねこ長しレモンの皮とマドレーヌ

慈雨の日の夢の水面の辺のみどり

マクガフィンその朝顔は何色か

吹き寄せのそこに隠した恋ごころ

学園の火災としての大もみじ

長い雨でんちのきれた腕時計

台風の目のなかプリン買いにゆく

キッチンでなにかが落ちて秋果かな

金木犀眠り終われば消えるもの


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