第2話 バウンティキラー ヴィリー

 太陽系保安局を訪れていた。なぜこんな僻地へきちに呼び出されたかは不明だ。しかたがない、これも仕事だ。

 床下から薄暗いライトが灯る辛気臭い廊下を進み、一番奥にあるドアをノックした。


「入って」


 ドアを開けると、灰色のデスクにドカッとハイヒールの足を乗せた女が、タバコを吸いながら、こちらを睨んだ。


「まあ、座ってちょうだい……。コーヒーはそこのボタン押せば、出てくるわ」

「遠慮しておく、俺も忙しい身でな。要件を聞かせてくれ」


 ゴウンゴウンという耳障みみざわりな音の人工重力装置のおかげで、室内が振動している。

 ボタンを押していないはずなのに、勝手にコーヒーがデスクの下から飛び出してきた。


「故障しているみたいね……。あなたに依頼したいターゲットがいるの」

 デスクの上に一枚の写真が差し出された。


 写真を手に取ると、俺は不愉快な気分になった。こいつ……俺をただの殺し屋と勘違いしているのか?


「銀髪の少女……この子を殺せというのか? 残念ながら、俺はこういう仕事は受けない。指名手配犯専門のバウンティキラー賞金稼ぎだ」

 

「その子は人間じゃない、ダークマター暗黒物質世界から来た侵入者」

「ダークマターから? アクシオンゲートはもう破壊したんじゃないのか?」


「そう、閉じたはずだった。それが再び開き、その物体が落とされた。多世界戦争の生き残りのあなたなら、それがいかに危険なことか、わかるでしょ?」


「ああ、向こうのやつらの目的はさっぱりわからない、ただ侵略にやってくる」


「戦争はもう終わっているわ……。だから、あなたにお願いしたいのよ。彼らには通常兵器は通用しない。これを扱えるのは、特殊訓練を受けた特装歩兵団の元兵士のみ」

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