帰還者の現代ダンジョン無双〜異世界から帰還したら、こっちの世界でもダンジョンが出来てたんだが〜

蘭童凛々

第1話 プロローグ




この日、世界が震撼した。




突如として、世界各地にダンジョンが現れ早10年。

ダンジョン内には、未知の生物、未知の力。

現代科学では到底解明不可能な現象に、人々は最初こそ戸惑い恐怖を抱いていたものの、ダンジョン内に足を踏み入れた偉大な先駆者達が持ち帰った情報により、徐々に順応していった。



曰く、ダンジョン内にはモンスターが蔓延っている。

曰く、モンスターを初討伐すると自身の能力が数値化され、ステータスとして観覧が可能になり、討伐時に経験値が入りレベルが上がっていく。

曰く、ステータス以外にも様々なメニューがあり、その中にステータスを得た者達の強さをランキングで表されたものがある。

曰く、スキルが存在し、入手方法は初討伐時、レベルアップ時、スキル取得アイテム、何らかの干渉があった時など様々である。

曰く、ダンジョンは階層で分けられており、ダンジョンによりって階層の深さが違っている。

曰く、階層が深いほど、ダンジョンの難易度は高くなる。

曰く、そのダンジョンの階層を全て攻略すると、そのダンジョンは消えて無くなる。

曰く、ダンジョン内には現代では到底実現不可能な神話的アイテムが手に入る。



特にダンジョンで手に入る様々なアイテムは、どれも驚く程の高値で取り引きされ、一攫千金を狙えるその夢の場所は、瞬く間に全世界の注目の的となり、多くの人々がダンジョン内へ足を踏み入れ始めた。

ダンジョン内へ足を踏み入れ攻略する者を人々は冒険者と呼ぶようになった。


そして、そんな冒険者を束ねた組織が約7年前に発足された。


その名も、ギルド。


ダンジョン内の立ち回り方や複数人でパーティを組んでの戦闘の連携方法などの講座や、装備や回復アイテムなどの資金援助など、様々な恩恵を受けられるギルドに、多くの冒険者が加入していった。


ギルドは僅かな期間で多くのランキング上位者を獲得、輩出していき、様々なダンジョンを攻略していった。

現在では、ギルドはダンジョン関連において大きな発言権、決定権を持つ程に強大な組織へと大躍進を果たした。


しかし、そんな多くのランキング上位者を抱えるギルドを持ってしても、攻略を果たせないダンジョンが存在していた。


世界に初めて現れたダンジョン。

別名、始まりのダンジョン。


始まりのダンジョンは、世界初のダンジョンである事から多くの冒険者が攻略を目指したが、誰1人として1階層・・・すら攻略出来なかった。

難易度が他のダンジョンと違い過ぎていた。

例えば、難易度Bランクと評価されるダンジョンの深層に出てくるモンスター以上の強さを持ったモンスターが、始まりのダンジョンの1階層では多く出現してくるのだ。


現時点で、Bランク・・・・のダンジョンの攻略を果たしたばかりの冒険者達では、始まりのダンジョン攻略は数年は先の話になるだろう、そう評されていた。

そして、始まりのダンジョンは推定ランク、推測不可能アンノウンとされた。


しかしこの日、世界各地で大きな地震が起きた。

10年前から幾度と無くその地震を経験していた人々は、それがダンジョンが消えて無くなる前の前兆である事を知っていた。

人々は、また何処かの冒険者達がダンジョンを攻略したのだと悟った。


事実そうであったが、ステータスを持った者達の耳には、驚くべきアナウンスが流れた。



《始まりのダンジョンが攻略されました》



世界は文字通り震撼した。

始まりのダンジョン攻略、それは冒険者達の夢であり、世界にとっては最重要視されている事案であったからだ。

何故なら、Bランクでさえ神話にしか存在し得ないようなお宝級のアイテムが発見されているのだ。

それが、Bランク以上の推測不可能アンノウンとまで評される程のダンジョンから発見されるアイテムであるなら、間違いなくそれは文字通り推測不可能な程の利益を生む。


アナウンスが届く世界中の者達が耳を傾けた。

次に届くであろう、攻略者の名を聞き逃さないように。



《攻略者は1名ーーー所属、帰還者きかんしゃ千寿 万治せんじゅ ばんじです》



約1年前に突如として現れ、冒険者ランキング第一位となった謎の男。

僅か1年で、多くの冒険者を抱えるギルド以上の数のダンジョンを攻略した、ギルドと対を為す謎の組織ー帰還者ーの、最強の冒険者。



それが、推定難易度ー測定不能アンノウンーの始まりのダンジョンを攻略した者であった。



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