第4話 メリクリの後には

母「あんたまだ言ってるの?」

俺「なぜだ…。」

妹「構わなくていいんじゃない?」

俺「なぬー!」

母「あんたにサンタなんか来ないわよ。」

俺「なにゆえ。」

妹「キモいから!」

母「言い過ぎよ。当たりだけど。」

俺「お前らな〜。」

妹「なにかっ!」

俺「いいえ。別に…。」

妹「弱っ!キモ!」

俺「キモいは余計だっ。」


今日は12月26日。

前日に母からクリスマスプレゼントがなかった事にゴネてるのだ。


妹「20歳越してなにがサンタだ!」

俺「サンタとプレゼントに年齢は全く関係ないんじゃないかなぁ。」

妹「お前になんか誰もくれないし。」

妹「キモいし。ダサいし。変態だし。」

俺「痛いっ!胸に突き刺さる〜。」

妹「あっ、言い過ぎた。」

俺「わかればよ…」

妹「からの〜、」

俺「どこからのー、だよ。」

妹「やっぱキモいし。」

母「あなたも男ならしっかり仕事して、もっとパリッとして、彼女でもつくりなさい!」

俺「なぬ!?パリッとしたら彼女ができると言うのでござるか?」

母「たまにでるその語尾、あんた何時代の人なのよ?」

俺「しょ、少年時代…。」

妹「つまんなっ!」

母「そういうとこね。改善箇所は。」

俺「…彼女、か〜。。。」

妹「無理だって!」

母「わからないわよ。世の中相当なモノ好きもいるんだから。」

妹「ねぇ、それ慰めてるの?それともトドメ差しに行ってる感じぃ〜?」

母「両方!!」

妹「うむ。さすが我が母!」

俺「よしっ!」


ダダダー

バタン


妹「大丈夫かな〜?いきなり部屋にこもったみたいだけどぉ。」

母「これでサンタがどうとか言わなくなるんじゃないかしら?」

妹「まさか!それ目的で、あの発言??」

母「両方よ。」

妹「恐るべし我が母!」


本人はというと。


俺「よしっ。パリッとだな。」

…パリッとってなにがパリだ?もしかしたらヘアスタイルとかか?いやいや、シャツにアイロンとか?うーん。


いつもながらにこんな考えしかない。

さすがである。


俺「まずはヘアスタイルからだな。」


ウィーン

ウィーン


妹「あいつドライアーなんて使ってどっか行くのかな。」

母「私がパリッとって言ったから。」

妹「だから〜?」

母「髪でもパリッとしてるんじゃない?」

妹「マジか!」

母「多分ね。」

妹「意味わかってなくない?」

母「わかってなと思うわよ。」

妹「あんな息子で大丈夫なの?親として。」

母「今更って感じね。」

妹「たしかに。」


本人はというと。


俺「できたっ!」

…なかなかのパリ具合!


ダッタッタッタ


妹「うわっ!」

母「は〜。」

俺「どうだっ!」

妹「いっ、いいんじゃない…。」

母「うん!斬新。」

妹「うん!残念。」

俺「ん?なんか言った?」

妹「い、いいや、な、なにも…」


ダッタッタッタ


俺「行ってきまーす!」

母「えっ?何処へ?」

妹「えっ?それでっ!?」

俺「ふっふっ!俺を求めるハニーの元へ。」

母「は〜???」

妹「うっ、やばいモード突入。」

俺「夜は遅くなるかもっ!ねっ!」

妹「ねっ、って?」

俺「行ってきまーす!」


ガタン


母「はっ。」

妹「ヤバっ!」

母「大丈夫よ。」

妹「なにが?」

母「誰にも相手にされないから。」

妹「たしかに。


バタン


俺「ただいまー。」

母「早くない?」

妹「まだ1分たってないし。」

俺「雨が降ってきたので残念ながら帰還しただけだが、またこの髪にできるだろうか?」

母「ち、違う髪でもよくない?次は…。」

妹「その髪さ〜、今日からお…」

母「しっ!聞こえるでしょっ!」

妹「だってさぁ、似てるんだもん!」

母「似てるかも。」

俺「んで、時に母よ。」

母「な、なによ?」

俺「クリスマスプ…」

母「かっ、かっこいいわね〜!今日のあなたは。いっかす〜!」

妹「無理矢理すぎない?話そらすの。」

俺「マジかっ!やっぱり!」

妹「やっぱりじゃないし。キモいし。」

俺「ん?なんか言った?」

妹「い、いや別に。」

俺「風呂入るわ。」

俺「ルンルン…」


バタン


妹「絵に描いたように単純。」

母「だから楽なのよ。」

妹「ガチでヤバいけど。」

母「相当ね。」

妹「ホントに私兄妹か心配。」

母「それは間違いないわ。」

妹「受け入れ難い現実…。」

母「結構似てるわよ。」

妹「!?例えば?」

母「髪が黒い。」

妹「この国の人ほぼ当てはまるし。」

母「あとは二重。」

妹「……。」

妹「ってかさぁ、ある意味で母もキモ兄に似てるんじゃない?」

母「な・に・か言った?」

妹「!?い、いいえ。」

…母こわ〜っ!


俺「風呂前にアレンジしてみよーか。」

ウィーン


妹「あのバカまた髪いじってる。」

母「いいんじゃない。今まで髪なんかいじった事ないんだし。一歩前進よ。」

妹「一歩後退じゃなくてぇ?」

母「そーとも言う。」

妹「どっちだよっ!」


ガラガラ


俺「どーだ!最高傑作!」

母「プッ!」

妹「…ノーコメントで。」

俺「パリパリだろ!」

母「まるでツリーね。」

妹「1日遅れ!ついでに時代遅れっ!」

俺「変か?」

妹「変。」

母「すごく変。」

妹「三角の帽子みたい。」

母「クリスマスツリーね。」

俺「あーっ!!プレゼント!」

母「まだ言ってるの?」

俺「メリクリ!!」

妹「26日だし。」

母「頭だけクリスマスね。」

俺「メリクリ!!!」

母「また来年ね。」

妹「ホント、キモ兄!」


とある一家のクリスマス翌日にて。


俺「だからっ!メリクリ〜!!」









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