『俺の幼馴染がエロ可愛すぎてヤバい。』クリスマス短編
ゆきゆめ
エロ可愛すぎるお嫁さんとクリスマス。
降りしきる雨が止んで、虹の架け橋に出会ったあの日。あれからどれだけの年月が流れただろう。
今日は、聖なる日。クリスマスイブの夜。
「ジングルベ~ルジングルベ~ル鈴が鳴る~♪」
「しゅずがなる~♪」
あの頃と変わらない、祖母が残したこの家で、妻である
今日はただただ、幸せな家族の日。いつもよりももっともっと、最愛のふたりの笑顔が見れる日だ。
「ほらほら、パパも歌ってください」
「歌って~」
「え、いやパパは歌下手だからなぁ。ふたりの邪魔になるって」
「いいんですよ下手でも。大切なのは心ですから」
「うん!」
「……そうか? ならまぁ、歌うかぁ」
「やったやったぁ~♪」
パチパチと未紘が嬉しそうに手を叩く。
「ふふ。じゃあ次はみーちゃんのお誕生日をお祝いしないとですから、バースデーソングですね」
「お、そうだったな」
そう、今日はクリスマスイブであり未紘の4歳の誕生日でもあるのだ。だからこそ、俺たちにとって今日は特別なのかもしれない。
そういうことなら、ここはやっぱり夫婦の出番だ。
「ハッピバースデートゥーユー♪ ハッピバースデートゥーユー♪」
先導するように歌いだしたユキと視線が重なる。夫婦のアイコンタクト。すべてが分かる。
ユキに合わせて、いや合わせてもらって、かな。俺は下手くそながらも愛娘のためお祝いの歌を口ずさんだ。
「ありがとー! パパ、ママ! だいすき!」
「ママもみーちゃんのことがだーいすき、だよ? 本当にお誕生日おめでとう。おっきくなったね」
ユキが未紘を抱きしめる。慈しむように、優しく抱きしめた。
「おっきい? みー、おっきくなった? おねえちゃん?」
「そうだな。もうおねえさんだ」
未紘の頭を撫でる。すると未紘は気持ちよさそうに目を細めた。天使のような可愛さ。そういえば、
「んふふ~♪ みーね、みーね、ママみたいなびじんさんになるの!」
「お~、みーちゃんならきっとなれるぞ。なんせママの子だからな」
俺の遺伝子が邪魔しなければ、間違いない。幸い今のところはママ似の愛くるしい顔に、銀色の髪。
名前に引っ張られなくてよかった。ユキの強行により、俺の名前と同じ紘という字が未紘には使われている。
「それでねそれでね、びじんさんになったらパパと結婚するの! みー、パパのお嫁さんになりたーい!」
「ええ? いやそれは……どうしようかなぁ。パパにはママがいるからなぁ」
どうしたものか。嬉しくてたまらない。こういうこと言ってくれるのも今だけなのかな。なぜだか、無性にお義父さんがユキやサユキに泣かされていたのを思い出した。あれは悲しい事件だった。
やっぱりいつか、未紘にも思春期が来るんだろうな。パパなんて嫌いとか、そんなことまで言われて。彼氏を連れて来ちゃったりして……。
もしかして、父が娘と戯れることを許されるのは今だけなのでは? それならもう、今のうちに結婚しておくしかないのでは!?
「結婚、だめぇ……?」
「うぐ……い、いやダメなわけないぞ!? ぜひ! ぜひとも結婚しよう!」
「……ヒロさん?」
「え゛?」
「ヒロさんのお嫁さんは、私だけですよ?」
あ、やばい。ユキさん激おこぷんぷん丸。べつにそんな怒らなくてもよくない!? 娘に嫉妬とか大人げなくない!? た、たしかに我が子可愛さに一瞬、一瞬だけユキの姿が視界から消えてたけど! でもほんの冗談みたいなもので!?(9割5分本気) ていうか、娘にあんな上目遣いされて拒めるわけないでしょう!?
だから許してください! ごめんなさい! そんな人殺せそうな目で見ないで! 娘の前でそんな顔しないで! お話は後で聞きますから!
視線で訴えかける。心は渾身の土下座。
「ふふ。冗談ですよ。いくら私でも、娘の嫉妬したりしません」
「ほっ……」
「それに私だってヒロさんよりみーちゃんのことを愛してますから。ヒロさんはもう一生二番です」
「え、いや、それはちょっとまた違くない? 一番とか二番とか、そういう話いくない。みんな違ってみんないい。みんな一番。優劣なんていらないよね?」
「さあ、どうでしょう」
ユキはいたずらっぽく笑った。完全にからかわれている。
「パパとママけんか? けんかだめだよ? りょーせーばいなんだよ?」
「ごめんねみーちゃん。けんかじゃないから安心して?」
「ほんと?」
「うん。だから、ママと一緒にみーちゃんもパパのお嫁さんになろうね」
「なる! みーもママと一緒なる~! パパのお嫁さん~!」
なんだかよく分からないうちに話がまとまった。
「はは……」
よし、まずは法律の改正からか。娘のためにどうにかしよう。パパにできないことはない。まずは法律のプロでもあるお義父さんに相談か。ぶん殴られそう。でもその後めっちゃ共感されそう。それからまた飲みにでもお供しよう。
◇
家族で過ごすクリスマス、そして誕生日パーティーはあっという間に過ぎ去った。そうしたら幼い未紘はすぐにおやすみの時間だ。
少し興奮していたようだけれど、布団に入ったらすぐに可愛い寝顔を見せてくれた。
リビングに戻ると、ユキがすぐに出迎えてくれる。ここからは夫婦の時間だ。
「お酒、飲みますか?」
「じゃあ、いただこうかな」
「はい。ちょっと待ってくださいね。ちゃんとおつまみも用意してありますから」
一足先に、俺はテーブルの椅子に腰かける。
テキパキと晩酌の準備をしてくれるユキ。家のことは何でも完璧にこなしてくれるし、未紘のお世話をしながら俺にも気をまわしてくれる。本当によくできたお嫁さんだ。その分俺は精一杯働いているつもりだけど。それでもいつもいつも、俺は助けられて、支えられている。
「いつもありがとう、ユキ」
「え? なんですかいきなり」
「いや、まぁクリスマスだし。日頃の感謝を」
「感謝なんて、今更言葉にするまでもありません。私たちはずっとこうやって、支え合って生きていくんですから」
「そうかな」
「はい。そうですよ」
やっぱり視線で想いを交わす。昔より、落ち着いて話をすることが増えたかな。ととえ言葉少なでも、二人きりの時間があまりなくとも、すべてが通じ合えている気がする。
「なあ、ユキも呑めよ」
「いいんですか?」
「もちろん」
「では、少しだけ。いただきますね」
ちょうどおつまみとグラスの用意を終えようとしていたユキが自分の分のグラスを持って来る。
ユキは普段からお酒を嗜みはしないが、決して嫌いなわけではない。
それから、ユキは隣の椅子に腰かけるとワインをグラスに注いでくれた。本日のお酒はお義父さんからいただいた白ワイン。正直、ワインの味が分かるほどに俺の舌は肥えていないし詳しくもないが、だいぶ値の張る逸品らしい。
クリスマスはシャンパンかとも思うが、まぁいいだろう。そう変わるまい。
「では」
「おう。乾杯」
「メリークリスマス、ヒロさん」
「メリークリスマス、ユキ」
ワインを煽ると、爽やかな香りが鼻を抜ける。心地よい渋みが口内を満たした。
続いて、ユキも舐めるようにワインへ口をつける。それからほわっと吐息を零した。なんだか、すごく色っぽい。大人になろうと、何年経とうと、酒の席というのは一種の異世界だ。普段とは全く違う世界が広がっている。嫁を見る目も、少しだけ浮足立つ。
「美味しいですね、これ」
「だな。つってもやっぱよく分らんけど」
「ふふ、私もです。ヒロさん、お父さんと飲むときもいつも適当にお話合わせてますもんね?」
「いや、あの場ではお義父さんの言うことがすべてだから。あれ大変なんだぞ? 味の感想とか聞かれるとひとり格付けチェック始まるかんな? 冷や汗ダラダラよ」
それならワインの味くらい分かるようになれという話だが。まだキャリアが足りないらしいですお義父さん。許してください。
俺の反応がおかしかったのか、ユキはくすくすと笑みをこぼす。
「いつもお父さんのお相手、お疲れ様です」
「今度はユキも一緒に飲んでやれよ」
「それは遠慮しておきます。お父さんはヒロさんと飲みたいんですよ」
「そうかねえ……」
まあ、いつも酔いつぶれてるしな。しかめっ面ではあるが。それに俺も不思議と、お義父さんと飲むのは嫌いではなかった。むしろ好き、なのだろうか?
「そういえば、みーちゃんはちゃんと寝てくれましたか?」
「ああ、しっかりと。プレゼントに埋もれそうだけどな」
「すごい量でしたもんね」
「ありがたいけどな……みんなして張り切りすぎなんだよ……」
「それだけみーちゃんが愛されてる証拠です。皆さんに感謝しないと」
未紘のベッドには、クリスマスと誕生日のプレゼントがたっぷりと寄せられている。俺とユキの友人、それからユキの両親、たくさんの人たちから頂いたものだ。明日の朝、未紘の驚く顔を見るのが何よりの楽しみ。カメラの準備をしておかなければ。
「
「サユキが嫉妬しちゃいそうですね」
「ほんとそれな。人の娘より自分の恋人を見ろっての」
「ヒロさんヒロさん」
「あ?」
「恋人じゃなくて、お嫁さんですよ?」
「ああ、そうだったっけ……」
たしかサユキが結婚できる年齢になると同時に籍を入れたのだったか。まったく、お熱いものだ。
「来年には式を挙げたいってサユキが言ってましたよ」
「お、マジか」
「それに、夏帆さんたちもそろそろだそうです」
「そっちもかよ……星乃たちはいい加減にしろって感じだけどな」
「そうですね」
しかしそれももう終わり。
俺たちもそれなりに歳を取った。そろそろ、身を固めるべき時期なのだろう。前だけを見て、歩き続ける時間にも限りがある。
それぞれの幸せを見つけるべき時だ。あるいは、もう見つけたのかもしれない。
「なぁ、ユキはさ、今……幸せか?」
世界で一番愛しい人に、問いかける。
「またですか。何度目の質問ですか?」
「何度でも聞く。これだけは言葉にしてほしい」
そうでないと、臆病な俺は間違えてしまいそうになるから。
こうでもしないと幸せを口にする機会って、そうそうないものだから。
仕方ないパパですね、とユキは少しだけ呆れ気味に、でも穏やかに呟いた。
「幸せですよ。ヒロさんと出会ったあの頃よりも、ヒロさんと恋人になれたあの頃よりも、結婚したあの時よりも、今の私が幸せです。ヒロさんがいて、みーちゃんがいて、みーちゃんのお誕生日をお祝いしてくれるみなさんがいて。この世界には私たちの大好きな銀色が溢れています」
ユキは一度言葉を切ると、柔らく微笑む。それはここ最近は見ることのない、幼い日の彼女の笑顔に似ている気がした。
「ユキ……?」
「だから、安心して? ヒロくん……私は、ユキは世界で一番幸せだよ? それだけは、誰にも譲らない。ヒロくんも、そうだよね?」
「……ああ。俺もこの上なく、今が幸せだよ」
「はい……♪ みんなみんな、幸せです♪」
ユキはやっぱり普段よりずっと子供っぽい顔で笑った。
幸せって、ちゃんと目に見えるものじゃない。どこにあるのかもわからなくて。幸福の形がひとつというわけでもなくて。誰かの幸せが自分にとっての幸せとも限らない。
それでも、誰もがそれを求めて生きている。
自分だけの幸せを見つけ出すこと。それが生きるってことじゃないかと思う。きっとそれがこの世界を生きる理由になって。この世界を照らす唯一の方法だ。
俺たちは、どこまでも続く銀世界に包まれている。
それが俺たちの描いた幸福だった。
「……ねえ、ヒロくん」
「どうした?」
視線を向けると、ユキがグラスのワインをぐいっと飲み干した。あれ、さっきまでとだいぶ飲みっぷりが違うような? というか、ボトルの中身がかなり減ってないか?
「ヒロくぅん……」
「だからどうした。ていうか絶対酔ってるよな? おい?」
「ヒロくん……終電、なくなっちゃったね……」
「はぁ? いやここ家ですけど!? どういうこと!?」
「ち~がう~のぉ~。そういうことじゃなくってぇ……つまりぃ……」
とろんとした瞳で、ユキがこちらを見つめる。
「えっちしようってこと……♡」
「ぇ……いやそれは……未紘いるし……」
「だいじょーぶ。みーちゃん、寝つきいいから」
「いやでも……」
「ダメなのぉ? ユキ、もう我慢できないの……だからヒロくん……今日はたくさん、……ユキを愛して? めちゃくちゃにして……?」
しなだれるように、身体を押し付けてくるユキ。やばいやばいやばい。柔らかすぎるって。エロすぎるって。年月を重ねるごとに、ユキは綺麗になっている。こんなふうに迫られて我慢など出来るはずがない。我慢していいはずがない。
「ああもう、わかったよ。わかったって」
俺は立ち上がると、すぐさまユキを抱きかかえた。
「きゃ……♡ ごーいん……♡」
「もう覚悟しとけよおまえ……」
「はい。いっぱいいっぱい、愛してください。もうひとり、できちゃってもいいんですよ? みーちゃんもお姉さんになりたいみたいだから、丁度いいですね♪」
「ったく……」
エロ可愛すぎるお嫁さんを抱き連れて、俺は寝室へ向かった。
~~~~~~~~~
いかがだったでしょう?
正直蛇足ですし僕のちっぽけなポリシー的にも、もうヒロとユキの物語は書かないつもりだったのですが……書いてしまったものは仕方ないと。楽しんでいただけたなら幸いです。
それではみなさん良きクリスマスを!
もしかしたら、ここに新たな短編が投稿されることもあるかも……?(もうどうとでもなれ)
『俺の幼馴染がエロ可愛すぎてヤバい。』クリスマス短編 ゆきゆめ @mochizuki_3314
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