第54話 地下闘技場
2021/01/28 カレーガチャの有効期限変更に伴い本話でのカレーを食べている描写をカットいたしました。
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何とか食料危機を脱した俺たちは堅パンを口の中でふやかしながらなんとか飲み込んでいる。
馬の糞のせいでケチがついてはしまったが、やはりいかにカレーがありがたかったのかがよく分かるというものだ。
さて、先ほどのガチャで俺のステータスはこんな感じになった。
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名前:ディーノ
種族:人族
性別:男性
職業:冒険者(E)
年齢:13
ギフト:ガチャ
ステータス:
HP:1/1
MP:2/2
スキル:
剣術:2
体術:1
弓術:1
水属性魔法:1
火属性魔法:1
風属性魔法:1
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ようやく VIT は戦闘に関連したギフトを授かった人の最低値に追いつくことができたし、AGI ももう少しだ。
このまま半年ほど頑張ればスタート地点には立てるんじゃないかと思う。だからそのためにも生き残り、そしてお金を稼いでガチャを引かなければならない。
「ディーノちゃん、そろそろいくわよン」
「はい」
トーニャちゃんに言われて立ち上がるとガチャから余分な荷物をその場に残して、俺たちはゆっくりと迷宮の中を歩き出した。
堅パンのおかげで体中に栄養が行き渡り、先ほどまでよりも随分と元気が出てきた気がする。
そして程なくして次の階層へと降りる階段を発見した。
「意外とこの階層は狭かったですね」
「そうねン。降りるわよン」
カリストさんにそう答えたトーニャちゃんは躊躇なく階段を降りていく。
そして今までよりも少し長い階段を降りた先は一直線に続く通路だった。
「……今までとは様子が違うわねン。注意して進むわよン」
「はい」
俺はメラニアさんをいつでも守れるように集中して進んでいく。
そしてしばらく歩くと、突如開けた場所に出てきた。
ここは円形の平らな場所をぐるりと取り囲むように段々になった客席が儲けられている。
そう、これはまるで闘技場だ。
「これは……闘技場なのかしらン?」
「そうだ。そしてここがお前たちの墓場となるのだ!」
トーニャちゃんがそう呟くと、突然フリオの声が聞こえてきた。そしてドスンという音と共に俺たちが入ってきた闘技場の入り口が閉ざされる。
「覚悟はいいな? ギルドの犬どもめ」
そうフリオの声で言いながら反対側の入り口から歩いてきたのは蒼黒い肌に赤く輝く瞳、そして頭には一対の角が生え、背中には大きな翼が、そしてお尻からは尻尾を生やした謎の生き物だ。
だがその顔にはどことなくフリオの面影がある。
「フリオ、なのか?」
「なんだ。ハズレ野郎もいたのか。荷物持ちがこんなところまで来ちまうとはなぁ。ははははははは。安心しろ。お前もすぐに殺して楽にしてやるからよ」
「……」
何というか、姿こそ変わっているし言動も過激になってはいるが根っこの部分はフリオらしいと言えばフリオらしい気もする。
「ディーノちゃん。もしかしたらあの子はディーノちゃんにとってはお友達なのかもしれないけど、もう完全に悪魔の力を受け入れて染まってしまっているわン。助けるなんて考えてちゃダメよン」
「あら? そうでしたの? ですがディーノ様。お友達を助けたいというお気持ちはとても立派ですが、ああなってしまえばもう……」
「え? あ、いや……」
ええと? メラニアさん? 俺が睨み付けられている場面にいませんでしたっけ?
「さあ、変態オカマ野郎。この間はよくもやってくれたな。ぶっ殺してやる!」
フリオはばさりと翼を大きく広げると宙に浮かび上がる。そして手元に黒い弾を作り出すとこちらへとトーニャちゃんめがけて撃ち込んできた。
「下がってなさいンッ!」
トーニャちゃんはそう叫ぶと黒い弾をひらりと避け、そしてフリオに向かって走り出した。
一方のフリオの撃った弾は地面にぶつかると爆発した。その爆風に視界を奪われた俺は慌てて鉄の盾を前に突き出して俺とメラニアさんの身を守る。
「ディーノ君! 早くこっちへ」
顔を上げればカリストさんたちは既にトーニャちゃんの邪魔にならないように端へと避難を始めている。
「はい。メラニアさんも」
「ええ」
俺は戦闘の様子を横目で見ながらカリストさんたちの避難している場所へと駆け出すのだった。
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