第12話 一か月の金策
二日酔いの頭に血が上ったせいか更に頭の痛くなった俺はそのまま昼まで寝込んでしまった。それから何とか起き出した俺は身支度を済ませるとギルドへと向う。
監督にはもう来るなと言われたし、早とちりしたフラウの命を救うにはガチャの期限が来る一か月の間に 1,000 マレを貯める必要がある。それには建設作業員では無理だ。
であれば、まずは一か月で 1,000 マレを稼ぐ方法をギルドでセリアさんに相談してみるのがいいだろう。
というわけで、俺はギルドの扉を開けた。昼間という事もあり依頼を受ける冒険者も少なくセリアさんも手が空いているようだ。
「セリアさん」
「あら、ディーノさん。おはようございます。昨日は大丈夫でしたか?」
「はい。何とか」
「そうですか。ディーノさんはお酒に強くないみたいですから、あまり飲まない方が良いと思いますよ。あの後アントニオさんがディーノさんを家に連れて帰って介抱するって言い出して大変だったんですから」
「え?」
ヤバい。全く記憶にない。だがもしそうなっていたらと考えると身の毛もよだつ思いだ。
「それは、ありがとうございました。気を付けます」
「はい。そうしてくださいね」
そう言ってセリアさんはニッコリと微笑んだ。
「それで、今日は何のご相談ですか?」
「はい。実はですね」
俺は一か月以内に 1,000 マレを稼いでどうしても買わなければならないものができたことを伝えた。
「1,000 マレですか。そうですね、Eランクではその、少し厳しいかもしれません。ですがディーノさんがわざわざ私に相談しに来たということは、きっとどうしても必要な事なんですよね。かしこまりました。少々お待ちください」
そう言ってセリアさんは奥の事務室へと歩いて行った。そしてしばらく待っていると書類を持って戻ってきた。
「この辺りが今のディーノさんにご紹介できる依頼となります。その中でも実入りが良いものとなると、やはりどうしても討伐系の依頼になってしまいますがそれでも大丈夫でしょうか?」
「はい。覚悟はできています」
「かしこまりました。アントニオさんの評価によりますとディーノさんは【剣術】と【体術】のスキルがそれぞれレベル 1 相当とのことですので、北の森でのゴブリンを退治の常設依頼、または南の平原でのグラスウルフ退治あたりがご希望に沿える内容かと思います」
「ありがとうございます」
俺はお礼を言うと依頼書を確認する。
北のゴブリンは一匹討伐するごとに 10 マレで買い取り上限はない。そして南のグラスウルフは一頭あたり 30 マレだが買い取り上限が三十匹だ。
報酬だけで見ればグラスウルフのほうがよさそうだが納品方法が違うようだ。ゴブリンの場合は魔石のみだがグラスウルフの場合は魔石に加えて毛皮も持ってくる必要があり、しかもその状態によっては討伐報酬が減額されることがあるらしい。
という事は、俺が行くべきは北の森のゴブリンだ。俺にグラスウルフを綺麗に解体する技術はない。
「では、ゴブリンにします」
「かしこまりました。ゴブリンは徒党を組んで襲ってくることがありますので防具をしっかり装備していくことをおすすめ致します」
「わかりました。ありがとうございます」
「それでは行ってらっしゃいませ」
「はい。行ってきます」
こうして俺はゴブリン退治の依頼を受けることになったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます