第5話 冒険者ガチャ二十二連

「ねぇディーノ。ガチャ引こうよっ!」

「そ、そうだな」


 何しろ無料で貰ったガチャチケットが二十枚もあるのだ。しかも十連でオマケが一連分ついてくるから二十二連ガチャだ。


 前回は【剣術】と【体術】の二つを神引きした。さすがに連続で神引きできるとは思わないが、一つくらいは☆5を引きたいものだ。


 ああ、ヤバい。なんだか神引きすることを考えただけでもドキドキしてきた。


 俺はスクリーンを開くと[十連ガチャを引く]をタップした。すると、スクリーンが切り替わりガチャの演出画面が映し出され、俺の興奮は高まっていく。


 そしてスクリーンの奥からフラウによく似た十人の妖精たちが宝箱をぶら下げながら頑張って飛んできた。


 先頭から順に木箱、銅箱、木箱、木箱、木箱、木箱、木箱、木箱、木箱、木箱だ。


「えっ? あっ? 木箱だらけ?」


 そして妖精たちは箱のパワーを送ってくれたが箱の色は変わらなかった。


 くそっ! 爆死した!


 ちなみに結果は☆3の銅箱が「干し肉」、残りの九つの☆2は「薪」、「小さな布切れ」、「皮の紐」、「藁しべ」、「馬の糞」、「糸」が二つにそして「動物の骨」が二つだった。


 しかし今回のガチャはそれでは終わらない。十連で引いているので一連分のオマケがあるのだ。


 スクリーンの中の妖精たちが祭壇の周りに集まると祭壇に向かってパワーを送る。そして祭壇はキラキラとした光に包まれ、そこに光り輝く箱が登場した。


 こ、これは!


 パカリと開いたその箱からアイテムが飛び出してきた。


『☆2 馬の糞』


「何でだよ! 今の流れは絶対☆5が来る流れだっただろう! ここで大逆転じゃないのかよ!」


 しまった。興奮しすぎて思わず大声をあげてしまった。


 落ち着け、俺。大丈夫。まだもう十連残ってるから。こっちで神引けばいいだけの話だ。


 今世ではまだ二十連しか引いていないが前世ではどれだけのガチャを引いてきたことか。


 そう、言うなれば前世の俺はガチャマスターと言っても過言ではなかったのだ。その時の経験を活かして、このガチャに全神経を集中させる!


 大きく息を吸い込んで、そして吐き出す。


「ここっ!」


 俺は狙いすましたタイミングで[十連ガチャを引く]をタップした。すると再び画面が切り替わり、奥から十人の妖精たちが宝箱をぶら下げながら頑張って飛んでくる。


 しかしその抱えている箱を見て俺は焦った。


 なんと、全員木箱を抱えて飛んできているのだ。


 妖精たちは頑張って祭壇に置いた木箱にパワーを送っているが箱の種類が変わってくれることは無い。


 ここまで七個の箱が木箱のままだった。そして八つ目の箱を妖精が祭壇に置くとパワーを送る。


 すると今回は木箱がきらりと光り、そして木箱は何と銀箱へと変化した。


「よーし! いいぞ! よし! よし!」


 俺は思わず大きくガッツポーズをする。


 そして銀箱が開き、アイテムが飛び出してきた。


『☆4 STR強化』


「やった! ステータス強化だ!」

「やったね。おめでとう!」

「ありがとう、フラウ!」


 俺はフラウとハイタッチを交わした。


「さあ、次も頼む! 変われ!」


 しかしそんな願いもむなしく残り二つは木箱のままだった。


「いや、だがまだある。オマケの一連分! ここで来い! ここで☆5! いける! いける! お願いします!」


 俺は両手を組んでガチャの神様に祈る。


 俺の祈りに応えるかのように十人の妖精たちが祭壇の上に光り輝く箱を出現させ、そしてアイテムが飛び出してきた。


『☆2 腐った肉』


「なんでだよっ!」


 俺は思わずテーブルに突っ伏したのだった。


────

今日の二十二連ガチャの結果:

☆4:

 STR強化

☆3:

 干し肉

☆2:

 糸×3

 薪×3

 皮の紐

 小さな布切れ

 動物の骨×5

 藁しべ×2

 ただの石ころ×2

 腐った肉

 馬の糞×2


================

動物の骨がやたらとたくさん出ました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る