聖水がほすぃ
そういうわけで丘の上にある教会へとやってきた。そう、俺が死んだ時に復活したあの教会だ。少し嫌な記憶が蘇るが、まあ過去のことは忘れよう。
「こんにちはー」
教会の正しい入り方、とか全く知らないので恐る恐る入り口の重い扉を開けて中に入る。幸いミサとかをやってるわけでもなく中の椅子には誰も座っていなかった。
「はいはーい」
奥の祭壇の方からほうきを持って歩いてきたのは、まさに俺が復活した時に看ていてくれた若いシスターだった。掃除中だったのだろうか。
「あ、この間の勇者さん!」
「えっと、その節はどうも」
ぶっ倒れた状態で復活するというなんとも無様なところを見られているのでかっこがつかない。というかあの時動転して彼女を襲おうとしたような……まあ過去のことは水に流そう。
「改めまして、私はこのクロス教会の見習いシスター、シェリーです」
「ヒロキです。よろしくお願いします……」
「お仲間さんは助かったんですね! ……って、アナちゃんとジータちゃんたちだったのね!?」
「はい! おかげさまで助かりました」
アナとジータはどうも村では顔が広いようだ。ジータに関しては唯一の武器屋だものな。
「それでまあ、イルナのおかげでボスモン……いや、巨大な淫魔を倒したんだけど」
「巨大な淫魔ですか」
ボスモンスターという概念が通じないのがなんとももどかしい。とりあえず激闘の様子と今の状況について軽く説明した。
「なるほど……。恐らくその淫魔はテンタクルフラワーという淫魔ですね。この村の記録にはありませんでしたが世界神話には出てきました」
神話に淫魔が出てくるんだ。というか神話に出るような淫魔と俺ら戦ったんだ。
「そんなのがなぜあそこに……」
「そういえばゴブリンの時から既に怪しかったよな」
ジータの一言でアナと俺はハッと思い出す。
「ゴブリン自体は世界のどこにいてもおかしくはありませんが……」
「そのゴブリンがミスリルの盾を持ってやがったんだ。それも複数個」
それを聞いてシェリーも驚いた様子を見せた。
「それは確かに……何かあるかもしれませんね……」
シェリーは少し考えると祭壇の下にある棚から本を一冊取り出して持ってきた。
「そもそもこの世界は何百年も前、淫魔に支配されて人間は住むところを追われていきました。彼らは人間の性の力を食べて無限に増殖していきます。ある時、大賢者が発明したこの『安全地帯』のおかげで人間は辛うじて暮らしていけてますが、当然これは防衛戦でしかありません」
そこまで言うと持ってきた本を開いてその中の一文を指さした。
「神話の中にこんな予言があります。『いつしかこの均衡が破れ、再び戦火が舞い戻るだろう』……もしかすると淫魔の中で力を持つ者、上級淫魔が確実に人間を支配しようと目論んでいるのかもしれません」
上級淫魔……前にも話に出てきたけど、いったいどんなやつなんだろうか。やっぱり人間型なのかな?
「でも人間倒しちゃったら性のエネルギーを取ることもできなくないか?」
「だから淫魔たちが狙っているのは恐らく『人間の家畜化』。安全地帯を破壊して人間を生活させつつエネルギーをむしりとるつもりなのでしょう」
うわぁ。下ネタとはいえやってることエグいな。
「つまり、淫魔石をどんどん破壊していかないとヤバいと、そういうわけだよな」
「そうです」
最初はフワッと「淫魔石を壊そう~」みたいな目的だったが、ここにきて淫魔石を壊す意義が強まった感じだ。
「そこでこの山の上の淫魔石も早いとこ破壊しなくちゃいけないんだが……」
「そのために聖水が必要なんでしたよね。お任せください!」
大幅な設定説明が入ってしまったがやっと本題に入ることができた。こういう物語はメタ的な要素入れないとやっていけないのよ。
「それではまずは神様を呼ぶ儀式を始めたいと思います」
「はい」
「それでは◯液を用意してください」
「はい?」
「大丈夫です。私がお手伝いしますので」
シェリーはそう言い終わらないうちにクララもびっくりの速さで俺のズボンを一気に下ろしたのだった。そうです、これはエロゲーです。
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