第56話 好奇の眼差し

「やめろ。撮るな」

目映いフラッシュが俺を取り囲む。

好奇心を押さえられないやつらが、

レンズを向ける。

見下ろすように、

見下すように、

嘲り笑うように、

死体に鞭打つような真似はよしてほしい。


「頼むからこれ以上撮らないでくれ」


俺はもう十分苦しんだ。

そうは言っても一向にやめる気配はない。

そもそも声が届いてもいない。


「危ないですからお下がりください!」

係員に制止されて騒動は収まったが、

後は警察の出番だろう。

彼等に事後処理は任せて、

一足先に眠りにつくことにした。

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