第55話 勇気も必要

一人でドライブしている途中、

水平線を一望できる穴場を発見した。

女性が一人、柵に手をかけ身を乗り出して海を眺めている。

とても綺麗で、声をかけるのも躊躇ってしまう。


「あれ、なんか書いてある」


隅っこに立て看板が刺さっていた。


《私有地につき立ち入り禁止。無断使用を発見した場合は声をかけるか、警察に通報をお願いします》


「ああ……そういうことか」


躊躇せずに声を掛ければ良かった。

もしかしたら声をかけてほしかったのかもしれない。

僕はいなくなった彼女に謝罪しながら警察に電話した。


 

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