第59話番外地.花嫁オークション(花嫁側)2

買われた私達は毎日、馬車の中で寝起きしている…。

草原に多くの馬車が並んで、中央に炊事場と水瓶。

離れた場所にトイレがある。

食事は炊事場に鍋を持って並び、大鍋から人数を言ってシチューとパンを受け取る。

奴隷に成った女達が並ぶ。

わたしは、ナタリーさんと一緒に洗い物もしている。

家の仕事で…。奴隷のするふつうの仕事。

他の馬車の女達は3~5人なので、人手の多い馬車の奴隷達は結構楽そう。

女が並べば会話もする。

愚痴に、身の上の話、そして大体がシモの話。

アレの時、身体の細い女のは後回しにされるので、わたしは特に羨ましがられる。

べつに何でもないのに…。

「今晩は、わたしの番なの…。」

買われる時、泣き叫んでいたシスター見習の子が頬を染めて微笑んでいる。

みんな、人の数だけ不満愚痴が有る。

だけど奴隷女達はお腹に施された魔法呪いがある。

捕まった時はあれほど怖かったのに…。

恐怖の呪いはわたし達の意味を変えてしまった。

夜はみなの楽しみに成っている。

寒いので旦那さんと肌を温め合うの…。

わたしは旦那様とナタリーさんと一緒に寝ている。

他の馬車の女達も同じ…。

何時も何処かの馬車が軋んでいる。

女の数が多い馬車は順番待ちで不満を言って居るが多い。

私達ふたりは毎晩、旦那様が相手をしてくれる。

ナタリーさんは嫌がっているけど…。

嫌がれば旦那様に激しくされて、気持ち良く気絶してしまう…。

馬鹿だなあ…。奴隷女が泣き叫んでも許してもらえないのに…。

わたしは毎晩、旦那様男の人の自由にさせている。

逆らっても痛いだけ、だから旦那様が気持ち良くなる様に。

でも。思い出すとわたしのお腹の下がきゅんきゅんしてる…。

どの女達も三日も旦那様の相手が無いと…。

わたしも旦那様が居ない夜は気がくるいそうになる。

わたしたちはもう、見えない首輪に繋がれ逃げる気が起きない家畜みたい…。


旦那様の話では雪が解けたら移動する事に成っている。

どうやら、旦那様はあの高い城壁を守る兵士の様子だ。

毎朝、食事を取って、隣の馬車の旦那さんと一緒に出掛けて日没後に帰って来る。

休みも有って、時々、日没前に出掛けて、日が登ると帰って来る。

わたし達は毎日、掃除と洗濯。

時々、食事の準備。

ココでは今まで家で見てきた奴隷の娘達みたいに鞭で打たれないし。

男の人達と同じ食事も与えられる。

泣き叫んでいる奴隷も見た事無い。

あの、高い壁の向こうは帝国祖国だけど…。

もう帰れない。

たぶん。

帝国軍が来て、旦那様達が走り回って居るのを数回見たけど。

どうやら、男の人達の話からするに毎回、城壁から撃退してるみたい。

そして、以前に夜明けに凄い地震が合って。

馬車の外を見たら空に見た事も無い、物凄い煙が登った事がある。

それからは、もう来なくなってしまった…。

多分、私達は忘れられている。

今は旦那様は馬車を離れて仕事に出ている。

今晩はどうしようか…。

わたし、わくわくしてる。

洗濯物を籠に纏めていると。

「”ひっ、ぐすっ、ちくしょう!ちくしょう!!”」

ナタリーさんが馬車の中で膝を付いて泣いている。

「”ナタリーさんどうしたの…。”」

「”多分…。私、妊娠した!あの男の子供を!!”」

ナタリーさんがお腹を擦って泣いている…。

「”え…。”」

「”身体がだるい、微熱がある…。日にちから考えて…。”」

学院で習った妊娠の初期の状態だ、わたしも身体に覚えがある…。

たぶん、あの時の、でも…。今、凄くわくわくしてる。

「”何時かは妊娠するだろうと思ってたけど!こんなに早く!助けも来てくれないのに!!”」

「”ナタリーさん…。”」

ナタリーさんは未だ助けが来ると信じてたんだ…。

あの凄い地震は大魔法使いの攻撃魔法で、男の人達が”ご領主さまの目の前に城を建て始めたから城ごと吹き飛ばした”と噂していた。

本当なら…。

たぶん本当だ。

あれからもう助け帝国軍は来てないのに…。

「”いやだ!あんな男の子供を!!私が、私が!”」

「”ナタリーさん、大丈夫よ…。多分わたしも…。”」

そう、こんなに嬉しいのはわたしも出来たんだ。

「”シェリー。貴女はあんな男でも腰振って…。ごめんなさい…。いえ多分私も溺れてるのに…。何故か怒れないの、ソレがイライラするの!こんな状況なのに!凄く…。多分私うれしいの!ソレが悔しくて!!”」

泣きはらすナタリーさんお腹が光ってる…。

わたしのお腹も紋章が光ってる。

ああ、そうか…。

コレがお父様の話していた。

”蛮族の大魔法使いの淫乱の魔法”

噂話でしかない…。

お姫様と女騎士さまが蛮族の魔法使いに捕まって呪いを受けた話だ。

たぶん、買われる前に並べられた裸の女達が騎士様だったのかもしれない。

何時か”アレに成りたい奴は志願しろ。”と黒い騎士が言ったのを覚えている。

このわたしの紋章は違う物だと言って居た。

だけど、女を従順にする魔法だ。


昔、暖炉でお父様達が話していた、”アレが在れば奴隷の売買も活気付くだろう。無論、手に入らないだろうが…。”


お父様、お母さま。

もし、わたしが家に帰れる事が出来ても…。

わたしを娘として扱ってくれるのだろうか?

お爺様もお父様も…。

我が家の小作人農奴は全て兄弟なのに…。



(#◎皿◎´)安い奴隷は数あれど…。信用できる奴隷は貴重品。

(´・ω・`)…。(異世界あるある…。)中華南部とか…。

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