第2話番外編.校長と言う名の称号。

(´・ω・`)なろうの無印”21.入学試験”のB面…。(誤字脱字修正版を準拠に書いて居ます。)

(#◎皿◎´)メテオストライクの魔法が使えます…。


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正直、俺は幼少の頃から魔法の使い手で最も先進的な存在だと思い込んでいた。

幼少の頃からデービス姓の家に生まれ、魔法適正で神童と言われてきた。

13歳の魔法学園の入学試験で適性が風魔法と言われた時に始めて絶望を味わった。

”風魔法は使い手が居ない上に、扱いが解らない…。”魔法使いの常識だ。

実際、デービスの残した魔導書に風使いの呪文は少ない。

そんなはずがない!俺は神に選ばれた神童だ!

俺の存在は何か意味が有るハズだ!!

学園の同級生の白い目に晒されても俺は、自己の存在理由を求めた…。

全てに近い風魔法の奥義を全て在学中に収めた。

努力の結果、研究は認められ…。

不本意だが、風魔法専門では無く付属の学問で評価された。

俺個人が評価されたが、神に与えられた人生の役目を評価されて居ない…。

俺は未だ役立たずなのだ…。

自己の存在を否定されたまま俺の職階は登って行った。

何も成さない。

何も存在を残せない。

教育者と言う職階を持っても何者にも影響を与えられない…。

全ての風魔法を知っても我が生徒に何も示せないのだ…。

死が近い汎人にこれ程の焦りは無い。

一生が何も成さずに終わるのだ。

無論、俺に子は有る。

その娘に風の適性は無い。

只毎年の若者達に俺のスキルを伝承できない…。

このままでは風の系統が絶えてしまう…。

嘗ての大魔法使いデービスは大地を割りドラゴンをも圧し潰す魔法を持っていた…。

その魔法は今は絶えた。

復元は不可能という常識だ。

大地を浮かす大魔法メテオストライクだ。

コレは我々汎人が、竜種に対抗する手段を失った、と言う証拠にしかならない。

高位の魔導書も全て閲覧できる職階教授に付き図書室の全ての書物を覗いた結果だ。

「我々の魔法は200年前より劣っている…。」

失われた魔法を復元できない…。

各家々に伝わる一子相伝で秘密に近い魔法も存在する。

人知れず散逸し、失われた魔法も多い。

当時の賢者が書いた呪文の解析は我々には不可能だ。

学園で得た一番の知識だ…。


ある日、中途入学生徒の面談試験の話が有った。

別に珍しい話では無い。

主に貴族の家の都合だ。

事前の書類に、魔法使いの欄が空白なのが気に成った。

「学園長。この受験生は誰の弟子なのですか?」

「ああ、我が魔法学園の卒業生の貴族の子弟だ、家で教えて居たので学園から派遣した師ではない。」

そうなると…。

可成り学習度に偏りが有る。

ファイヤーストームが出来てもウォーターボールに失敗する魔法使いは普通に居る。

偏った知識の生徒は指導が難しい…。

それに領地持ちの貴族の子弟だ。

困った顔をすると、学園長が話す。

「うーむ、手紙を見るにおそらく初級程度の魔法使いだ…。今時期の初級科は後半にはいっているが…。まあ良いじゃろ。」

随分と乱暴な話だが、実際に素質が有っても魔法使いと呼べる技能を持つまで成長するのは難しい。

この生徒も何か有れば伸びるだろう…。

その程度の考えであった。


「ようこそ魔法学園へ。わしが学園長のネブラ・アルボル・デービスじゃ。」

「初めまして、オットー・フォン・ハイデッカーです。此方は俺の身の回りをする配下のマルカです。」

「ま、マルカです、よろしくお願いします。」

学園長室に入って来た貴族の新入生の印象は…。

大男だ…。腹周りも太い。

大男は魔法使いとして大成するという言い伝えが有るが、現在では懐疑的な話だ。

建国の伝説の魔法使いデービスがハゲでデブの大男だった為だ。

無論、”デブで大男が魔法を使えない。”のは田舎では嘲笑の的に成る…。

木偶の棒の代名詞良くある話だ。

嘗ては、太っているから魔法が使えると勘違いする者も居た。

この者は落ち着き具合から、貴族の子弟であるのは間違いないが…。

新入生と言うには歳が取り過ぎている…。

魔法は若い内に学習を始めるのが良いとされている。

自己紹介が終わり学園長が始める。。

「では試験を開始します。子弟の方はあちらの部屋へ。」

庶民と貴族との入学基準は違う為、別室に向かう少女、不安毛な顔だ。

庶民には筆記試験が用意されている。

貴族には口頭試験だ、別に落とす必要は無いので何処まで知識が在るのかを知れば良い。

適性の有無は自己責任だ。

「では、オットー・フォン・ハイデッカーさま。魔法に必要な要素とは何でしょうか?」

答えは正しい発音と、正しい音程だ…。

間違える魔法使いは居ない。

知らない者は魔法が使えない。

「魔力とイメージと運動と結果です。」

思わず返答を理解できずに学園長の目を見る…。困惑している。

俺が質問しよう。

「…。ソレはどの様なものですか?」

「たとえばファイヤーボールの発動を精解します。魔力に回転運動を与え高温をイメージします。」

答えた大男は右手を上げ、いきなり火球を掌に作って見せた…。

完全なファイヤーボールだ…。

いや、ファイヤーボールの呪文は停止した状態で保持できない。

火球は完成する前に目標に向かって飛翔する…。

その為、阻害されやすい。

「このまま目標にぶつけ破壊するという結果が生まれます。」

ばかな…出来るはずが無い。

ファイヤーボールは実戦で使うと詠唱を始める間合いが難しい。

発動時には機会目標を失ってしまう。

その為、始動から発動の時間を早める為。

術者には繰り返しと経験の蓄積が求められている。

学園長も驚く。

「あなたは魔法が使えるのですか?そしてソレは誰に習いましたか?」

「独学です。」

火球を霧散させた大男…。

この男の魔法は我々の知る魔法とは違う物だ。

少なくともファイヤーボールは正しい呪文音程とリズムを実行しないと大概は霧散して失敗に終わる…。

最悪は自爆だ。

詠唱は途中で止める事は出来ない。

「詠唱してませんね。」

軽い頭痛を覚えて質問する。

「必要ないのでやりません。景気付け程度にやる時も在ります。」

この男の魔法はデービスの魔法では無い。

コレは困った、学園の知識の外に居る魔法使いだ…。

「貴方の属性は火なのですか?」

当然、確認をする学園長。

「特に決まってません。風でも水でも氷でも出せますが。部屋が濡れると後始末に困るので火を出しました。」

大男は両手を広げると雷撃の魔法を使って見せた…。

目も眩むような稲光だ…。

「え、えっと?学園長?」

それより氷が出せる時点でこの学園を卒業して研鑽を積んだ上級魔法使いと同じ程度の技能を持っていることに成る。

無論、雷撃の魔法は可成りの準備が必要で、椅子に座ったまま…。

片手間で出せる物では無い。

「ああ、君はこの学園に何しに来たのかね?」

学園長が真っ当な質問をする。

この大男がなんの為に学園に通うのか…。

我々に教える事は無いのだ。

「独学なので知らない魔法を知りに来ました。あとは錬金術ですね。」

なるほど、酷く納得する理由だ。

昨今、学問を志す気概が有る生徒は珍しい。

この新入生大男は生徒では無く探求者学士か賢者の思考だ。

学園長も納得した様子だ。

「君の入学を許可します。魔法科クラスに席を置きます、が。どの授業に出ても構いません。卒業は20歳までに何らかの研究レポート提出で卒業審査を行います。」

立ち上がり握手を求める学園長。

探求者大男は喜びと感謝の表情だ…。

「ありがとうございます。この学園の名に恥じないように努力します。」

だが、何故かその目の奥は冷めている。

そうだ、この目は人殺しハイデッカーの目だ。

くそっ!古来よりハイデッカー姓の名の有る魔法使いは聞かない…。

しかし、この大男は明らかにデービス級の大魔法使いだ…。

ハイデッカー家が隠してきた大魔法使いをこの学園…。

いや、王国に見せつけて来たのだ。

大男が退室したドアを見る…。

「何を企んでいるんだ…。ハイデッカーは…。」

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(#◎皿◎´)俺、何か殺っちゃいましたか…。

(´・ω・`)…。

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