第63話 カジノ潰し
一件目のカジノは途中で支配人がやってきて金は払うから帰ってくれと言われたので、次の日も行った。顔色を変えた支配人がまたもやってきて昨日の倍の金を持てって来たので許してやった。
二件目に行ったたら、いきなり支配人がやってきて金を持って来た、この業界は広いようで狭い、すぐに話が回る。何件か回って見てもすぐに金を持った支配人がやってきて帰ってくれと言われるので大人しく帰った。
宿で休んでいると共和国のカジノ王から召喚状が届いた。一対一で勝負しろとのことだった、これで勝てると思っている所が少し笑える。
「ここかぁ、カジノって儲かるんだな」
立派な屋敷に警備員が何人もいる。今回は暗殺では無いので、特に問題ない。真正面から入ろうとすると警備員に止められた。手紙を見せると馬鹿にしたような目で見られた。まあ、俺が負けると思っているんだろう。
「入っていいか?」
「どうぞ」
笑うのをこらえるような震えた声だった。本当に殺意が湧きそうで困る。
「こちらです」
案内役の女性の後を着いていく。いい体してんな、それしか特に感想はない。
「お館さまが、お待ちです」
案内された一室はカジノ部屋だった。全く金持ちの考える事は分からない。
「君がカジノ荒らしか」
「あんたがカジノ王でいいのかな?」
王国ではカジノ荒らしではなく、カジノ潰しと呼ばれていたのだが。それは言わなくて良いだろう。
「好きなゲームで勝負しよう。私が勝ったらカジノの出入りは禁止だ」
「ふ~ん。金が目的じゃないのか……」
「金なら腐るほどあるからね」
十分稼いだから、別に構わないのだが、カジノの出禁二国目はさすがに凹む。
「じゃあ、ポーカーで」
「元手は稼いだお金を使ってくれたまえ」
「急に帰りたくなって来た……」
「だいぶ稼いだだろ、少しは吐き出してくれたまえ」
まあ、いいか。どうせ勝つし……。
「ディーラーはこの子だ」
案内役が深々と一礼する。ディーラーも兼ねてるのか……。
「ま、いいけど」
「これでも凄腕だよ?」
「カジノ王に有利なカード配ったりしないだろうな?」
「ディーラーの誇りに賭けてそのような事は致しません」
「ふ~ん」
誇り云々より不正したら腕の一本でも覚悟してほしいところだ。
「不正が分かったら指切り落とすからな……」
こちらがの本気が伝わったのかディーラーの女性が身を竦ませる。
「あまり怖がらせないでくれたまえ、手元が狂ったらどうする気だね?」
「いや、これくらいで手元が狂うなら、ディーラーに向いて無いだろ」
俺のせいで何人かのディーラーは廃業している。回復魔法で死人は出ていないが、人の金を扱うんだから、それぐらいの覚悟は持っていて欲しいものだ。
「カードは二組使う、それでいいかね?」
「別に構わないけど」
その方がイカサマもしやすい。イカサマしなくても勝てるけど……。
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