我輩はP.D.である
ぼんぞう
第1話 はじめの一歩?!
我輩はP.D.である。P.D.とはパーキンソン病のことである。パーキンソン病(以下P.D.)は、脳内における運動神経伝達物質ドーパミンが生産されなくなってしまう病気で、体の自由が除々に奪われ、最終的には寝たきりの状態になってしまうという何とも恐ろしい病気で、現在の医学では根治させるのは不可能という難病である。通常は60歳を過ぎたら罹患するのだが、我輩は若年性のP.D.で稀なケースらしい。
我輩が30歳を過ぎた頃、緊張すると左足がぷるぷると震えるようになりだしたのが始まりだった。元々緊張しいだったのでまさか病気だとは思わずに只の過緊張によるもので精神的なものだろうと軽く考えていた。しかし残念ながら現実はそう甘いものではなかったのである。しばらくすると歩きにくさを感じはじめ普通に歩いているのにちょっとした段差に毛躓いたり、以前なら誰よりも早く歩いていたのが、いつの間にかスピードがゆっくりになりそうこうしているうち左手が震えるようになりだしたのだ。さすがにこれはタダ事ではないと家族も心配し当時勤めていた会社の産業医に症状を説明し何科の先生に見てもらえばよいか聞いたところ神経内科で診てもらいなさいと言われ、神経内科というう聞き馴れない響きに何か得体のしれない不安を覚えつつ大きな病院で診察を受けたところドクターが「うーむ」と考えこんでしまい「症状からすると疑わしいけどあなたの年齢を考えるとどうかなー」と思案しつつも結局、京大病院で診てもらうように紹介状を書いてもらい直ぐに京大病院で精密検査を受けた。結果は、あっさりとパーキンソン病と診断がくだされたのである。でも病名をドクターの口から伝えられとき我輩は、なぜかしら、安堵に似た思いがした。何か得体の知れぬ病気でなくて良かったという安心感が、この時の我輩にはあった。ことの重大さを理解していたら自分が背負わされた過酷な運命の入り口に立たされたことを悟っていたならば違った心持ちだったろう。だがしかしこのよく考えないメンタルが我輩を助けたと言ってもいい。発病し診断されて暫くして、P.D.の友の会に入会するために電話をいれたところ私があまりにあっけらかんといているので友の会の方が、拍子抜けして半分呆れたように「普通はもっと希望を持つように話をするところから始めるのですが」と、我輩のメンタルの強さを褒めてくれたようで、「いやいやそんなもんじゃぁないんですよ」とまんざらでもなさ気に受け答えをしたのを覚えている。
要はあまり深く考えないこと、成るものは成る成らぬものは成らないのである。
我輩はP.D.である ぼんぞう @hioki5963
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